恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

北欧から届いたキッチンツール

暑いと何をするにも怠け心が働きがちですが、そんな時こそ新しい道具を試してみるチャンス。毎日の家事も、楽しく取り組めるかもしれません。今回は台所のふきんとして2つの商品をご紹介します。

 

ANN BACK キッチンワイプ

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こちらはフィンランド生まれのスポンジ。何よりの特徴は、その吸水、速乾力の強さです。

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乾いた状態では、厚紙のような1枚ですが、自重の10倍以上もの水を吸い、それに伴って柔らかく折り畳めるほどに変化します。布ふきんでは吸収しきれない水分にも、さっとひと拭き。食器や卓上拭き、水切り用の布代わりにもお使いいただけます。場所をとらず、クリップに挟んで掛けておけば乾いてパリパリに。湿ったままの布がシンクにあるのが気になる、という方にこそおすすめです。絵柄やロゴマークも入っていない、いたってシンプルな無地の1枚ですが、現在6カラーを販売しています。

 


Vaxbo Lin ディッシュクロス

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続いてご提案するのは同じく北欧、スウェーデンのリネンブランドVaxbo Lin(ヴェクスボ・リン)のディッシュクロスです。古くから麻の生産が盛んなVaxboの地で、紡績から製造までを自社工場で行っています。数あるリネンブランドのアイテムを比べても、敢えてざっくりと織られたこの風合いは特徴的。ボコボコとした表面は、すぐにはへこたれない丈夫さを伝えます。機能性と耐久性を備えたデザイン。何度も使い、お洗濯を繰り返すことで、麻ならではのコシを保ちつつも徐々に柔らかくなっていきますので、ぜひその変化をお楽しみください。

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質の高さが自慢のVaxbo Linの麻糸も、店頭では販売しています。夏糸として、またラッピング用にもおすすめです。

 

ANN BACK キッチンワイプ

Vaxbo Lin ディッシュクロス

 

(田川)

陶の石ころ

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普段は『石ころのヘアゴム』を中心にお取り扱いしているPoetoriaさんのミニフェアを、アンフェールで開催しています。河原で見つけた丸く平らな石、のようなこれらはすべて、陶土で出来たもの。拾う石にもそれぞれ表情があるように、ひとつとして同じものはありません。シンプルですが愛着のわく形、さらに、選ぶ楽しさも加味されているのが人気の理由でしょう。

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また、木のうろに溜まった雨水をイメージしたというブローチやピアスも並んでいます。こちらは本体の土にガラスを窯で溶かして接着。クラックの入ったガラス部分に、光が乱反射して宝石のようです。

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これからの秋冬の装いにも、活躍するアイテムたち。
是非お手に取ってご覧くださいませ。

 

glazed stone - 陶の石ころ
pretoria 
8月16日~8月31日
恵文社一乗寺店 アンフェールフロア一角にて

 

(田川)

『盆の国』

7月に発売された、スケラッコ先生のデビュー本『盆の国』。
webマガジントーチで連載されていた漫画が1冊の本になりました。

 

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京都の方なら、この柔らかい線で描かれた独特のイラストを目にされた事もあるのではないでしょうか。
KBS京都で「おうちごはん物語」のアニメーションを担当され、イラストや漫画だけでなく刺繍ブローチの製作など、多岐に活動されています。

 

この『盆の国』は、お盆に帰ってくるご先祖様が見える女の子、秋が主人公の物語。1年に1度、会えなくなった人に会えるお盆の日。ずっとお盆が続けばいいのに… という秋の妄想が現実になっちゃって!?エンドレスに送り日の前日を繰り返す秋の前に謎の青年夏夫が現れ、秋は「おしょらいさん」の世界に巻き込まれていきます。

柔らかい京言葉で描かれる物語や、シンプルな絵柄ながら確かなデッサン力の描線が、リアルな夏の空気を感じさせてくれます。
作者の人を見る優しい目線や、どこかノスタルジック感じる不思議な世界観も魅力的。お盆にこそ読みたい1冊です。

作者の漫画デビュー作「大きい犬」も一度読まれてみてはいかがでしょうか。

今後のご活躍が楽しみな作家さんです。

 

(森)

化石、鉱物入荷しました

現在、ギャラリーアンフェールでは恐竜の卵の殻や、アンモナイト、三葉虫などの化石をはじめ、水晶、ホタル石、方解石(カルサイト)などの鉱物を販売しています。ものによっては5億5000万年前という、頭がくらくらするほど古代の生物を、手のひらに乗せることができます。


一見するとお煎餅のような、魚化石ナイティアは、アメリカ・ワイオミング州西部の湖に生息していたニシン科の魚で、骨やひれまで綺麗に化石として残っています。右下の茶色い石のようなものは、恐竜の卵の殻です。ここから恐竜が生まれたのかと思うと、何だかドキドキしてきます。

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ナウシカや、ラピュタなどの宮崎駿アニメに出てきそうな三葉虫エルラシアの化石(写真左)は、カンブリア紀のもので、最大5cmと小さいながら、脱皮を繰り返して成長し、海底をはったり、泳いだりして海藻を食べていたそう。

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また古代生物が6種ぎゅっとつまった、示準化石セットもご用意しています。パッケージ内の恐竜のイラストは理科の教科書を思い出すレトロな雰囲気。

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人気の高い鉱物の中でも個人的におすすめなのは、方解石です。こちらは、炭酸カルシウムの鉱物で、透明な石を通して文字や線を見ると、二重に見えます。光の当たり具合によっても、虹色に輝くため、つい気になって触ってしまいます。

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地味な色味ですが、マニアにはたまらない(?)岩石分類標本も。火成岩や堆積岩など懐かしいワードが並んでいます。
夏休みの自由研究の参考にもぴったりです。

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全て繊細な商品のため、店頭販売のみしています。

 

(松元)

『綿の国星』

先日ホホホ座さんの2階の古本コーナーで巡り合ったのが、大島弓子の初期作品を集めた短編集。後々の作品に繋がるような瑞々しく深い物語の数々でした。今回はその後々の作品にあたる、代表作をご紹介したいと思います。

 

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近年の作品で有名なのは、「グーグーだって猫である」。
作者の猫との生活を綴ったエッセイ漫画です。ドラマ、映画化もされましたので、ご存知の方も多いかと思います。
また、感受性が強く不安定な主人公を描いた「バナナブレッドのプディング」も有名です。こちらも文庫化されていて、1977年の作品ですが気軽に書店で手にとれる1冊。今読んでも色あせない、独特の感性で描かれた世界観は、何度でも読み返したくなります。

数々名著がありますが、中でもお手に取っていただきたいのが「綿の国星」。自分の事を猫だと思っている「チビ猫」が主人公です。猫たちはみんな擬人化して登場。今では割と当たり前になっているこの表現ですが、当時では珍しく、猫耳の元祖と言われているとか。人間になりたいけれども、なれないチビ猫のいじらしさ。どこかズレていて空回っているチビ猫を、むぎゅむぎゅと可愛がりたくなります。飼い猫やノラ猫を取り巻く事情、チビ猫の目を通して見た人間模様。サラッとした繊細な画風、心に沁みていくような詩的表現はやはり大島弓子ならでは。

オンラインショップでは、お菓子研究家やマンガ家たちが、大島弓子を語り尽くす異色の研究本も取り扱っています。大島弓子にインスパイアされたレシピ、カードや詩集などのコレクション図版も満載。漫画と合わせていかがでしょうか。
「綿の国星」「バナナブレッドのプディング」なども店頭で扱っておりますのでお気軽にお問合せください。

大島弓子にあこがれて
http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000016041/

 

(森)

暮しの手帖の洋裁展

現在ギャラリーアンフェールでは、暮しの手帖社さんの「暮しの手帖の洋裁展」を開催しています。

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戦後間もない1964年。終わりから始まりへ、きっと抱えきれない程の不安と希望を皆が胸にしていたであろう頃に、ささやかな暮らし、でも美しく強く生きる術を与えてくれる市井の人たちのための雑誌。時代は変わっても、相変わらず本屋さんに並び、ちょっとした暮らしのアイデアや、美しい絵、言葉を伝えてくれる「暮しの手帖」は、朝のドラマの影響もあってか、当店でもますます好評いただいています。

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今回の展示は「洋裁」がテーマ。暮しの手帖82号で特集されたASEEDONCLOUDさんによる「三世代で着る自由な服」、そして最新号83号で紹介されているTESHIKIさんによる「サマーパンツのつくりかた」より、掲載に使用された写真や編集部の方が実際に作ったサマーパンツなどがお目見えしました。洋裁なんてむずかしそう…と思っている人でも、きっと作ってみたくなるような、簡単だけど素敵なパターン。お気に入りの布地でぜひチャレンジしてみてください。

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合わせて二つのブランドの商品も展示販売しています。ASEEDONCLOUDさんは、シンプルながらも素材の美しさや質感を生かし、ユーモアとウィットのスパイスを加えたデザイン。お洋服は見ているだけで着てみたい!と思うような軽やかさと美しさ。アクセサリーや小物も、クリップやペンシルキャップに小さなお花のモチーフが付いたものや、鉛筆を使ったブローチなど、思わず笑顔になってしまうような楽しいものばかり。

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TESHIKIさんからは、お洋服と女性用ショーツを販売。「誰もが似合って、みんな快適。」をコンセプトに、心地よい肌触りとほっと安心するようなデザインで毎日の定番にしたい一着が並びます。ショーツはとても気持ちいいさらりとした肌触りと、かぼちゃパンツの形がかわいくて、当店女性スタッフも口を揃えて「ほしい!」と声をあげるほどでした。

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そして今回の展示に合わせて当店からご用意したのが、暮しの手帖バックナンバー。ドラマや特別番組などでも大きく取り上げられ、最新号に復刻版も付録されていた創刊号をはじめ、第一世紀~第二世紀頃までのバックナンバーを揃えました。(創刊号は完売いたしました。ご了承ください。)ずいぶん前の内容なのに、現代に暮らす私たちでもハッとさせられるような言葉の数々、美しい挿絵や表紙は、一冊ずつじっくり眺めたくなります。

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年配の方から若い方まで本当にいろいろな世代の方が、初日からたくさんご来場いただいている今回の展示。改めて「暮しの手帖」という雑誌の底力を感じました。この雑誌が産声を上げた頃より、ずっと便利に暮らし易くなった現代。なんでも手軽にできるのはありがたいけれど、手で頁をめくって読んで取り入れた言葉の響きや感触、自分の好きな布地で自分で手を動かしてつくるお洋服だって、ちょっと手間はかかるけれど、やっぱりすてき。自分らしく暮らすヒントが爽やかに吹き抜けるような展示、ぜひご来場くださいませ。

 

暮しの手帖の洋裁展

開催期間:2016年8月9日(火)-15日(月)

開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00まで)

開催場所:ギャラリーアンフェール

 

どんなに みじめな気持でゐるときでも

つつましい おしやれ心を失はないでゐよう

かなしい明け暮れを過してゐるときこそ

きよらかな おしやれ心に灯を點けよう

 

終戦間もない、1946年の夏。

私たち、暮しの手帖社の前身である衣裳研究所が刊行した

ファッション雑誌『スタイルブック』は、

そんな文章から始まります。

 

生地を選び、手を動かし、工夫する。

その時間が、自分の暮らしと向き合い、

より愉しく、より美しくと、あなたのおしゃれ心に

灯を點けるきっかけとなりますように。

 

今回は、『暮しの手帖』83号、82号で、暮しの手帖編集部が実際に作成し、撮影に使用したものを展示いたします。

 

 

(上田)

前田一郎 8月のガラス

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前田さんの作品は、大げさに言うと、ぐにゃっとしています。平皿が丸くなかったり、軸がずれていたり。クレヨンを手にした子供が、紙の上に自由な軌跡を描くように、ガラスの硬度を感じさせない変幻自在な印象。作家の主張や模倣から逃れたこれらの形を眺め、前田さんが作ればそうなるしかないのだろうな、と思います。

今回は昨年の展示では無かった、薄茶色の蕎麦猪口、水色の平皿も並んでいます。この淡く青みがかった器は、お酢の瓶や窓硝子などを溶かして作ったもの。かつてはビール瓶も素材に用いていたそうですが、現在は瓶の品質も変わり、使いにくくなってしまったのだとか。

透明な器が一覧できる会場は、涼しげな風が吹いています。


前田一郎 8月のガラス
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー
2016年8月6日〜8月19日


(田川)