恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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11/19(日)パク・ミンギュ×斎藤真理子トークイベント

日本翻訳大賞という文学賞があります。2015年に西崎憲、柴田元幸、金原瑞人、岸本佐知子らの翻訳者有志によって立ち上げられた、生まれて間もないこちらの賞は、一次選考を一般読者の手に委ねるという開けた性格をもっています。第一回大賞として選ばれた作品はなんと韓国文学作品でした。受賞作はパク・ミンギュの『カステラ』(クレイン)。翻訳は斎藤真理子さんです。同賞はその作品自体以上に、翻訳者への評価が重要になります。ブローティガンの翻訳が藤本和子でなければならなかったように、現在の韓国文学邦訳において斎藤さんの存在は欠かすことができません。この受賞以来、ミンギュさんの小説は次々に邦訳されました。ここ最近で、韓国はじめ、中国、台湾、他のアジアの国の文学に少しずつですが注目が集まっています。

 

11月19日(日)には、なんとパク・ミンギュさんと訳者の斎藤真理子さんをお招きしたトークイベントを開催。ミンギュさんは東京会場と当店でのトークイベントのために来日されます。

 

『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』(晶文社)刊行記念イベント

韓国の人気作家パク・ミンギュさんがやって来る!

【日時】11月19日(日)14:30open / 15:00start

【参加費】無料

詳細はこちらからhttp://www.cottage-keibunsha.com/events/20171119/

 

そして、いよいよ来週頭には、パク・ミンギュ新刊『三美スーパースターズ最後のファンクラブ』が犀のマークの晶文社より刊行されます。手元になく、まだ読めていないものをどう語ろうかと思案しましたが、イベントまで時間もないので思い切って書きます。

 

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三美スーパースターズというのは、80年代韓国プロ野球創世記にぶっちぎりの最下位の弱小チームとして君臨し、2007年にプロ野球から撤退し、現在は解散した野球チームです。このダメチームのファンクラブ会員だった二人の少年が大人になり、様々な困難に立ち向かうというのがこの本の大筋。「がんばれ!ベアーズ」的な話ではないのはもちろんですが、弱小チームのファンクラブ、しかもそのチーム自体が無くなるという憂き目に直面するという流れは、何か燃えるものがあります。届くのが楽しみでなりません。

 

『三美スーパースターズ…』は、晶文社から先月始まった「韓国文学のオクリモノ」シリーズの第二作。来年5月までに、ハン・ガン、パク・ミンギュ、キム・エラン、ファン・ジョンウン、キム・グミ、チョン・ミングァンの6名の作品が出揃います。シリーズを通じてのブックデザインは寄藤文平、鈴木千佳子のタッグによるものです。

 

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この企画を興した晶文社の斎藤典貴さんの偏愛がなければこのシリーズは始まりませんでした。今回の新刊に合わせて斎藤さんから、「宣伝に役立ててくれ」という名目で三美スーパースターズのTシャツをいただきました。スーパーマンが米国の強打者のようなスタンスでバットを構える、ナンセンスな魅力に溢れたデザイン。イベント当日はこちらを着て参加し、イベント後にはミンギュさんにサインを入れてもらい、スポーツチームのTシャツらしく店頭に飾りたいと思います。(非売品です。)

 

今回のイベントのために斎藤さんがミンギュさんに簡単なコメントを求めたところ、原稿4枚分ほどの分量のメッセージが返ってきたそうです。そのコメントが文章として非常に良いらしく、今回のイベントにご参加いただいた方々に限定で冊子としてお配りする予定です。その他にも、ちょっとした読み物として面白い韓国文学を紹介する冊子も何点か来場の方に差し上げます。ともあれ、今回のイベントは参加費無料です。ぜひお気軽にご参加下さい。

 

また店頭ではクオンから刊行されている〈新しい韓国文学のシリーズ〉や、ミンギュさんの著作を集めたフェアを開催しています。あわせてご覧ください。

(鎌田)