本の虫の習性と苦悩。読書の愉悦、書物への偏愛。創元社より刊行された『本の虫の本』は、本好きが高じて「本の虫」まで進化した、日々本を食べて暮らす書き手たちが本にまつわるあれこれを綴った一冊です。
編集者、ライター、画家、古書店主、新刊書店員…。集った書き手たちは、それぞれに巣食う本の世界からキーワードをひとつずつ選び、異なる時間軸や出自、個人的な読書遍歴や忘れがたい記憶などをふくむ様々な視点から、本とその周辺の世界を経巡るように自由に綴ります。集まった150以上の文章は、本にまつわる用語集として、それぞれに独立した上質のエッセイ集として、どこから読んでも楽しめる構成で一冊に束ねられました。
「つんどく」「読書会」「SM」「夢に見た本」「蒐集癖」「紙魚」「腰痛」「埃」「本ではないもの」…。一見バラバラに置かれたそれぞれの項目と文章は、別のページへのインデックスとしてつながり、読み進めるうちにますます本の奥深い世界を回遊する愉しみが深まっていく。終わらない寄り道を繰り返しながら本にまつわる記憶と知識が自然に繋がるような仕掛けが施された本書の魅力は、ぜひ実際に手に取って感じていただきたく思います。
林哲夫さん、萩原魚雷さん、田中美穂さん、岡崎武志さんらとともに、「新刊書店員」の立場から当店スタッフ・能邨陽子も執筆に参加。二十年来に及ぶ恵文社一乗寺店での勤務経験、本と書棚の間から見聞してきた様々な体験を交えた文章には、書店員から見た本というものの魅力や特長、売り手としての実感、書店員と本との関係性やその変遷などが、様々な当店ならではのエピソードとともに描かれています。本をめぐる現場としてこの場所に流れてきた時間を垣間見るように、ぜひ楽しんでいただければと思います。
手に取り、読み、集め、(時には手放し)、物理的にも精神的にも本に埋もれながら、日々を生きていく。プルーストから植草甚一、ギッシングから山田稔まで、本書に登場する書物を味わい深く描いたイラストレーター赤井稚佳さんのブックイラストレーションなども含め、本への愛着と知識が一層深まる稀有な一書。ご来店の際には、また最寄りの本屋さんに出かけた際にはぜひ手に取ってご覧になってみてください。
株式会社 G.B より発行されている『全国 旅をしてでも行きたい街の本屋さん』。ホホホ座 浄土寺店さん、マヤルカ古書店さん、誠光社さん、三月書房さんら京都の本屋紹介ページにて当店もご紹介いただいています。
本書は、「本のある空間」を愛する旅行者向けに新刊書店、古本屋、ブックカフェなど全国185店を紹介したガイドブック。地元で長く愛される老舗から、ここ数年全国的にも拡がりを見せる若い世代によるセレクト重視の個人店、ゲストハウスや宿の本棚、歴史ある建物や離島の商店街など魅力的なロケーションを持つお店まで、様々なタイプの本屋と本のある空間が各エリアごとに紹介された最新版の本屋案内です。細かいデータが掲載されているのも実用的に嬉しい一冊。
当店では品切れ中ですが、すでに版元重版は決定しているとのこと。旅のお供に手にとられてみてはいかがでしょうか。
全国の書店員とその本屋の本棚を通じて、これからの街の本屋を考える。そんなコンセプトで連載されている雑誌『SWITCH』の1ページ連載「本屋のかお」。発売中の9月号、連載第27回にて、当店の書籍部門マネージャー・鎌田裕樹のインタビューを掲載いただいています。「語りたい3冊」ではコメントを交えて書籍のご紹介も。
まもなく10月号が店頭に並びますが、こちらの連載はウェブでもご覧いただけますので気になる方はぜひチェックしてみてください。
京都を拠点に、各地のインディーカルチャーを取り上げるウェブマガジン『アンテナ』(https://kyoto-antenna.com)。カルチャースポットを紹介する「SPOT」ページにて、当店店長・田川怜奈のインタビューを掲載いただいています。
仕入れの基準、チームで働くこと、お店づくりについて…。現在の恵文社一乗寺店のあり方を垣間見ていただけるのではないかと思います。こちらもぜひご一読くださいませ。
(涌上)