恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

二月空 ミニフェア

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何かを強く訴えかけるのではなく、その場の空気や時間、目には見えないものを捉え提示した写真を用いた紙モノたち。フレームの中にある、何気ないモノクロムの景色に、ふと思考が立ち止まります。

現在アンフェールでは、フォトカードなどのオリジナルの商品制作を手掛ける二月空さんのミニフェアを開催しています。並ぶのは、昨秋より販売している2月始まりの2017年カレンダーに加えて、まるでフィルムのようにシーンが続き、蛇腹型を点線で切り取ると4枚のカードになるスリーブカードや、封筒の内側に風景写真が印刷されたレターセットなど。仕様はさまざまですがどの商品にも通底する心地よい静けさ。二月空さんならではのこの空気感を、会場にてご堪能いただけましたらと思います。

 

二月空 ミニフェア
1月24日 - 2月15日
恵文社一乗寺店 アンフェールフロアにて

 

(田川)

蕪木 チョコレート入荷のお知らせ

 

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ほんのひとかけらのチョコレートで、張り詰めていた気持ちがほろっとゆるんだり、
甘くて幸せな気持ちになったり、時にはついつい食べ過ぎてしまう事も。
チョコレートには、何か特別な力があるような気がしてなりません。普段、何気なく口にしている方も多いと思いますが、その原料であるカカオ豆が、一体どのようにしてチョコレートへと姿を変えるのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。どのように実をつけ、どこで、どんな人々がそれを収穫するのでしょう。

収穫されたカカオ豆は、いくつもの製造工程を経てチョコレートになります。
その一つ一つが重要な工程だそうです。丁寧に選ばれた素材を存分に生かすよう、作り手の蕪木さんは手間を惜しみません。

 昨年11月、東京都台東区に開店した珈琲店「蕪木」(かぶき)は、珈琲豆の焙煎と販売、イベントへの出店などの活動を続けてきた蕪木祐介さんの珈琲と、チョコレートが味わえるお店です。蕪木さんは、製菓会社で商品開発をされていた経歴を持ち、現在はご自身のお店にて、原料となるカカオ豆の選定から仕入れ、焙煎、製造までの全てを手掛けています。普段口にするものとは一味も二味も違い、カカオ本来の、奥深く複雑な味わいが感じられます。

確かな知識と経験、そして鋭くもおおらかな感性に裏打ちされた商品。
是非この機会に味わってみてください。

 

「かもがや」、「果香」と名付けられた、味わいの異なる2種と、その製作の背景を一冊の本にまとめた蕪木さんの著書「チョコレートの手引き」は、恵文社生活館にて販売しております。

この機会に、チョコレートへの知識を深めてみてはいかがでしょうか。
また、バレンタインの贈り物にもお勧めです。

 

※在庫に限りがございますので、お求めの方はお早めのご来店をお待ちしております。

 

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                             かもがや ¥1204+税

                                   果香     ¥1250+税

 

(秀野)

 

今週の新入荷、1月第3週

毎週金曜日、その週に入荷した活きが良い本をご紹介します。

 

先日、向田邦子が編集者たちに振る舞ったという「常夜鍋」を家で試してみましたが、醤油とレモン絞り汁を混ぜただけのシンプルなつけダレがさっぱりとしていて、まさしく毎日食べても飽きない味でした。作中に登場する場所に足を運んだり、料理を再現したり、想像以上に愉しいものです。 

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向田邦子しかり、茨木のり子しかり。

その作品世界に限らず、生活のあらゆる面で、あるいはその生き様自体が凛として美しい作家の著書というのは、読んでいて背筋が正されるような、母親に諭されているような妙に心地が良い気分を思い出させてくれます。今回まず紹介する『茨木のり子の献立帖』は、茨木のり子が残した膨大な日記やスクラップブックから、レシピを書き出し、茨木家の食卓を再現した一冊です。全てがカラー写真で掲載されている肉筆のメモやレシピから、料理上手でマメな人だったのだと知り、またひとつ茨木さんを近くに感じています。今晩にも本書に載っている献立に挑戦してみます。 

 

 食べ物に関する書籍がつづきます。

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箱根、湯河原、小田原に囲まれた場所に位置する人口7700人の小さな港町、神奈川県真鶴町(まなづるまち)。この地で「泊まれる出版社」として活動する真鶴出版が、地元のひもの屋の協力のもと作成した冊子『やさしいひもの』。毎日当たり前のように口にしながら、家でひものをつくった経験がある方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。表紙と同じ緩やかなイラストでひものの作り方や、美味しい食べ方を教えてくれる小さな本です。

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同封された「ひもの引換券」なるチケットを真鶴にあるひもの屋に持っていくとひものがもらえるそうです。

 

そして、スタッフも心待ちにしていた一冊が本日入荷しました。 

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昨年夏、IZU PHOTO MUSEUMで開催されたFiona Tan「Ascent」の公式図録です。世界中から評価される映像作家・フィオナ・タン。2014年、中之島の国立国際美術館にて開催された「まなざしの詩学」を見に行った際は、一日中その世界に没頭したのを覚えています。今回の「Ascent」展は富士山をテーマにしたインスタレーション展で、これまでは自身のルーツを追う作品を制作してきた彼女の新たな一面が、本図録からも見てとることができるでしょう。

 

今回は以上の3冊です。

それでは、また来週お楽しみに。

 

《今回紹介した本》

『茨木のり子の献立帖』平凡社

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020723/

『やさしいひもの』真鶴出版

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020719/

『Fiona Tan | Ascent』※近日当店オンラインショップ取り扱い開始

発行:IZU PHOTO MUSEUM、DE PONT MUSEUM

発売:NOHARA

 

(鎌田)

『うつわを愛する』出版記念展

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「うつわ祥見」として、鎌倉を拠点に活動していらっしゃる祥見知生さんの新刊『うつわを愛する』(河出書房新社)出版記念展を、開催しています。
昨年、長いキャリアの中で初めての作品集を上梓された小野哲平さんのお湯呑み、書籍巻頭を飾る吉田直嗣さんの鉄釉や白磁の平皿など。25名の陶芸家をひとりずつ取り上げ、その魅力を丁寧に綴る本書と同じように、染付、紅毛手、色化粧、粉引と、技法の異なる8名の作家による器が並びます。会場で気になり手にした作品がありましたら、この本の掲載ページを辿ってみても良いでしょう。一歩踏み込んだ器の知識、食卓で使う場面をより身近に想像できることと思います。

安永正臣さんの作品は祥見知生さんの同じく新刊『うつわかたち』に掲載されていますし、帽子を反転させたような焦釉リム鉢の作り手、荒川真吾さんは、うつわ祥見が太鼓判を押す、若手作家さんなのだとか。

個性的な作品が一堂に会した展示会。この機会にぜひお立ち寄り頂けましたら幸いです。

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『うつわを愛する』出版記念展
1月17日〜2月3日
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー
企画:うつわ祥見

 

出展者:
荒川真吾 小野哲平 石田誠  尾形アツシ 
安永正臣 吉田崇昭 吉田直嗣 矢尾板克則

 

(田川)

高崎紗弥香『沈黙の海へ』発売記念写真展

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飛騨、木曽、赤石。

富山湾から駿河湾まで420km。

日本海から太平洋に渡って広くのびる国内最大級の山脈、日本アルプス。最高峰は標高3,139m。森林限界を超えた地帯では、背の高い木々が育たず、岩のごろついた異様な雰囲気が漂います。

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そこに息衝く崇高なまでに美しい自然に魅了された写真家、高崎紗弥香さん。初夏から晩秋にかけて御嶽山の山小屋で働きながら、1年の半分以上を山で暮らす彼女の写真集がアダチプレスから発刊されました。山中で出会うシーンを最小のシャッター数で捉えたという写真たち。彼女に撮影されるまで、誰の目にも触れることがなかったであろう美しい風景が広がります。澄み切った静寂に包まれる、自然写真、風景写真という枠を超越した大判の写真集です。

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書籍の発売前、高崎さんと、高崎さんが所属されている「GALLERYエクリュの森」の田村さんから直接書籍のご案内を頂きました。もう何年も前になりますが、私も数人の仲間とテントを背負って日本アルプスを縦断したことがあり、そのことを話すと、お二人とも嬉しそうに写真集のこと、山のことをお話くださったのが強く印象に残っています。

 

そのような縁もあって、現在書店壁面にて『沈黙の海へ』の発行を記念した小さな写真展を開催しています。古来より山には神が宿るといわれています。朝靄に包まれているような、まるで違う星に来たような。標高の高い山の頂上付近に漂う、何もない寂しさ、美しさが、高崎さんの写真には存分に写されています。神秘的で清々しい写真をこの機会に是非ご覧ください。展示は1月末まで。

 

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『沈黙の海へ』高崎紗弥香(アダチプレス)

www.keibunsha-books.com

■写真13点(カラー)
■B4変型判(279mm×406mm)、32ページ
■上製(カバーなし、帯+シュリンク)
■定価=本体5,000円(税別)
■デザイン=鈴木成一、岩田和美(鈴木成一デザイン室)
■用紙=株式会社竹尾
■印刷・製本=株式会社東京印書館(プリンティング・ディレクション=高柳昇)

 

(鎌田)

『もう一度 倫敦巴里』と『話の特集』の特集

店内フェアのご案内。

 

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つい先日、ナナロク社から復刊された和田誠の傑作パロディ集『倫敦巴里』。

たとえば、川端康成の「雪国」の有名な書き出しを植草甚一、野坂昭如、村上春樹ら作家やミュージシャンの文体や節で書いてみせる。007を長新太の画風で描く。そのくだらなさに腹をよじらせながら、各々のパロディのあまりの質の高さに思わず膝を打つ、まるごとパロディからなる奇跡の一冊です。

 

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(井上陽水のパロディではご丁寧にコードまでついています。)

 

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雑誌「話の特集」上の連載をまとめた本書は、同名の出版社でもあった「話の特集」の倒産以来、長らく絶版状態でした。買いたくても買えなかった多くの読書家にとって、まさしく救いの手となる今回の復刊。装丁も当時のものに限りなく近くデザインされています。初回入荷分には、復刊に寄せた清水ミチコ、堀部篤史(誠光社)、丸谷才一、谷川俊太郎のエッセイを収録した小冊子が付きます。

 

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なんとも良いタイミングで「話の特集」の古書が大量に入荷しました。古書店でときたま見かけますが、これだけ数が揃った状態でご覧頂けることもそうそうないと思います。ざっとみて100冊程度。「話の特集」は1965年から1995年まで発行され、和田誠をはじめ、長新太や横尾忠則ら今や超一流の人物たちがその才能を開花させた場でもあります。これほどの面子が集まって、やっていることは限りなくハイソな悪ふざけ。70年代を中心に雑誌としての良心が存分に詰まった特集の数々、その代表格とも言える一冊が今回ご紹介した『倫敦巴里』です。

 

「話の特集」の特集、ぜひお立ち寄りください。

(鎌田)

天久聖一×よシまるシン『ロゴゴ展』開催中!

心待ちにされていた方も多くいらっしゃったと思います。新年10日からギャラリーアンフェールにて、天久聖一×よシまるシン『ロゴゴ展』開催中です。

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2010年より「ロゴドリル」において、世間にあふれる言葉と架空の造語をロゴとしてデザイン、発表してきたお二方。本展では「象形文字の誤解釈」をテーマに、漢字をモチーフにしたシュールでポップなオリジナルロゴ作品がならびました。

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普段の生活の中で目にするロゴやロゴマークは、なにを売っているお店か、なにを作っているところかなどの情報がひと目で伝わるようにわかりやすく図案化されているものです。
文字の起源のひとつ「象形文字」は、ものの形、様子などから形作られた文字で、それぞれの部首の形が文字の意味を知る手掛かりになるのですが、このオリジナル漢字『ロゴゴ』はそういう思考を軽く分断。同居するはずもないような部首(?)の構成に思考は解き放たれ、新しい脳の回路が開かれるのを感じました。

不思議なことに、一度分断され解き放たれた思考が、象形文字を読み解くような動きをし始めたりもします(DNAに組み込まれているのでしょうか)。ですがその結果全く違ったところにたどり着くというか(いったいどこなのか)、新たな意味さえ帯びていることに衝撃を覚えたり。友達としょうもない話をしながら新しい遊びを思いついたりする時の、脳が活性化していくあの感じ。『ロゴゴ』にそんな仕掛けがあるのかないのかわからないけど、これは発明だ!と思いました。

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作品は販売しています。アクリルマウント加工で美しく映えています。”置きやすい”アクリルキューブ、ステッカー6種類も。お部屋に職場に『ロゴゴ』を。

展示初日にはお二人によるオープニングトーク。まずコテージで「ロゴドリル」を皆さんで見ながらロゴゴ制作に至ったお話。それから展示会場へ移動して、それぞれの作品にまつわるお話、解説をしていただきました。ヤンキーとサンリオが融合した「ヤンリオ」という新語も生まれ、新しい遊びを教えてもらったような、楽しい時間を過ごしました。

会期:1月10日~1月23日
会場:ギャラリーアンフェール

 

(友田)