恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

『もう一度 倫敦巴里』と『話の特集』の特集

店内フェアのご案内。

 

f:id:keibunshabooks:20170115124942j:plain

つい先日、ナナロク社から復刊された和田誠の傑作パロディ集『倫敦巴里』。

たとえば、川端康成の「雪国」の有名な書き出しを植草甚一、野坂昭如、村上春樹ら作家やミュージシャンの文体や節で書いてみせる。007を長新太の画風で描く。そのくだらなさに腹をよじらせながら、各々のパロディのあまりの質の高さに思わず膝を打つ、まるごとパロディからなる奇跡の一冊です。

 

f:id:keibunshabooks:20170115123332j:plain

 

f:id:keibunshabooks:20170115123345j:plain

(井上陽水のパロディではご丁寧にコードまでついています。)

 

f:id:keibunshabooks:20170115123403j:plain

 

雑誌「話の特集」上の連載をまとめた本書は、同名の出版社でもあった「話の特集」の倒産以来、長らく絶版状態でした。買いたくても買えなかった多くの読書家にとって、まさしく救いの手となる今回の復刊。装丁も当時のものに限りなく近くデザインされています。初回入荷分には、復刊に寄せた清水ミチコ、堀部篤史(誠光社)、丸谷才一、谷川俊太郎のエッセイを収録した小冊子が付きます。

 

f:id:keibunshabooks:20170115123411j:plain

 

なんとも良いタイミングで「話の特集」の古書が大量に入荷しました。古書店でときたま見かけますが、これだけ数が揃った状態でご覧頂けることもそうそうないと思います。ざっとみて100冊程度。「話の特集」は1965年から1995年まで発行され、和田誠をはじめ、長新太や横尾忠則ら今や超一流の人物たちがその才能を開花させた場でもあります。これほどの面子が集まって、やっていることは限りなくハイソな悪ふざけ。70年代を中心に雑誌としての良心が存分に詰まった特集の数々、その代表格とも言える一冊が今回ご紹介した『倫敦巴里』です。

 

「話の特集」の特集、ぜひお立ち寄りください。

(鎌田)