京都造形芸術大学卒業生が立ち上げたアクセサリーブランド「CHIMASKI(チマスキー)」指導のもと、同大学 空間演出デザイン学科2回生の学生さんたちがつくり上げる展示。毎年この時期に当店で開催いただいている恒例の催しです。毎回ひとつのテーマで制作された作品が並び、個性溢れる学生さんたちの作品が楽しくて、毎年心待ちにしている展示です。
今回のテーマは「テーブルマナー」。わかりやすいテーマですが、そこから四方八方に発想が広がって、思いもよらない形になって、ひとつ眺めては感嘆してしまいます。どの作品も本当に面白いものが揃いました。一つ一つ紹介してみましょう。
【Tooth picks jewelry / Tanaka Yui】
お馴染みのあの爪楊枝がシルバーでユニークな装飾品に仕立てられました。中世貴族の間ではジュエリーとして身につける習慣があったそう。今では人前で爪楊枝をシーシーするのはお行儀が悪いけれど、昔はそんな文化があったなんて驚きです。
【農具と食べる / Hikita Nanaho】
いつもつい何気なく食べている野菜。それを作ってくれている人への感謝の気持ちを忘れないための、農具をモチーフにしたブローチ。きっと会ったこともないけれど、とてもお世話になっている人が居る場所に、きちんと気持ちが届きそうな素敵なブローチです。
【畑のランチョンマット / Maekawa Kotomi】
こちらは畑をモチーフにしたランチョンマット。マット一面にいろんな緑が顔を出しています。裏返すと…大豊作!食卓にきちんとランチョンマットを敷いて、作ってくれた人、いただく実りにきちんと「いただきます」を言いたくなる、ほっと優しい気持ちにしてくれるテーブルウェアです。
【Behind the starring / Kashimoto Miyako】
黒く塗られた台座にひときわ煌めくジュエリー。ご飯を食べるときやお花を飾るとき…日常のささやかな出来事の数々の後ろ側には、目立たないけれどあたたかい存在があって、暗闇に光る星のようにその人を美しく演出し、それを見た人も幸せになる。そんな素敵な幸せの連鎖が、シンプルで美しいジュエリーになりました。
【チューリップ / Yoshida Ami】
食卓を彩るお花は、なくてもいいけどあればとても幸せになる。白いチューリップを細かいビーズで形作って、きれいな箱に収めて。いつでも飾って楽しめるかわいらしいテーブルアイテムです。
【ハレとケ / Ono Atsuko】
懐かしい紙石鹸。薄い紙のような石鹸を手のひらに乗せて、水を合わせるとみるみる溶けて泡になり流される。植物の生長というストーリーを込めて、種から芽が出て実る様子が一枚一枚紙石鹸になりました。食事の前の手洗いが楽しくなって、いただく野菜が食卓に届くまでのストーリーに思いを馳せたくなる。特別な日も、なんでもない日も、変わらず淡々と生長する植物になんだかほっとします。
【Seed Value / Kamada Honatsu】
「代々継がれてきた種は、お金よりもたくさんの価値を含んでいる」という思いをこめて制作された、固定種のとうもろこしにパールが埋め込まれたオブジェ。そういえばどこかで、とうもろこしは人の手がかからないと生き残れない植物だという話を聞いたことがあります。美味しいとうもろこしが今も食べられるのは、手から手へ受け継がれてきたからこそなのですね。
【持参する食器 / Chang Tou Tzu(Evelyn)】
こんがり美味しそうに焼けたビスケットのブローチははずすと箸置きに変身。中世ヨーロッパでは、もてなしを受けるときに自分のカトラリーを持参していたそうです。アクセサリーとして持ち歩く食器なら、忘れずにいられそうですね。
【派手でシンプルでグリーン / Nagatani Haruka】
外でカトラリーを落として、汚れてしまったらもう口に運びたくないけれど、もし拾ってみてアクセサリーになっていたら、身につけたくなる“不思議な現象”をイメージして作られたというブローチ。コンセプトを読んで思わず笑顔になりました。楽しい発想がそのまま形になった、とてもかわいらしいアクセサリーです。
【パンの袋についてるアレ / Higashitani Shio】
誰もが見たことのあるアレ。(「バッグクロージャー」というそうです。)アレが違う素材、違うサイズで作られました。いつも何気なく使っていますが、改めて見ればなんだかとっても愛らしい。アクセサリーにしたり、何か違う物をまとめるのに使ったり…発想次第でいろんな使い方ができそうな思いがけず楽しいアレになりました。
【How to use spoon / Fuji Ayaka】
「カトラリーの使い方に興味を持つことが、テーブルマナーを守ることにつながるだろう」というコンセプトで作られたのは、見たこともない形をしたスプーン。花びらのように重なるスプーンは使うのがとても難しそう。マナーの原点に立ち返らせてくれる、哲学的なスプーン!
【HinoSIAWASE / Yamaguchi Manami】
外国の映画でよく見かける、食卓に灯るおしゃれなキャンドル。でも日本では、せいぜい停電の時に慌てて持ってくるお仏壇の蝋燭…なんてがっかりしてしまう人にぴったりのこちら。小さなかわいらしい燭台はお仏壇の蝋燭にぴったりサイズ!思わず、こんなの待ってた!と声を出しそうになりました。これでおしゃれな食卓が実現できます。
【canning napkin / Oga Ayu】
所変わればマナーも変わる。あちこちと旅をする人も、うっかりテーブルマナーを間違えないようこっそりカンニング出来るナプキン。これさえあればもう安心。どこへ行ってもスマートに食事を楽しめそうです。
【懐紙のーと/Kaishi Notebook / Tanaka Minori】
菓子皿代わりにしたり、口を拭ったり、懐に忍ばせていろんな用途で活躍してくれるお茶席道具の懐紙は、日本ならではの美しいマナー。こちらは、その懐紙を日常でより使いやすくするためにノートに仕立て直されています。カバーには、柔らかい手触りの手漉き和紙が使われていて、持ち歩くのが楽しくなりそう。
【Weed Mudler / Oguchi Keina】
美しいものを鑑賞しながら食事をする習慣の始まりは、花ではなく宝飾品だったそうです。美しく可憐な花があしらわれたマドラー。アクセサリーに使われるものと同じシルバーで形作られたこの宝飾品のモデルは、お馴染み叡山電鉄の線路沿いに咲く雑草たちです。花を飾るように、きらめく宝飾品を食卓にどうぞ。
【食卓の蜘蛛 / Fuji Wakana】
神出鬼没の蜘蛛が可愛らしいブローチになりました。邪険にされる存在だからこそ大切にしたいという優しい気持ちが込められた小さなアクセサリー。
【花を探したくなるような / Hirai Mizuki】
空っぽの花瓶を持ち歩く指輪。輪っかになっていない指輪は、空いた穴に花を通して完成。指先に花を飾るために道端に花を探すなんて、すてきな散歩になりそうです。
【持ち歩く食卓 / Iwayama Natsuki】
ドロドロごつごつとしたシルバーは、お行儀が悪い食卓を表現。机の下には白い粉…なんてドキッとしてしまいますが、中身は塩。危険な感じがする居心地の悪さが面白い、ユニークなアクセサリー。
【Spaghetti / Nishisaka Kirari】
リングの上にツンッと立つ小さなフォーク。スパゲッティを食べるときには欠かせない道具ですが、実はフォークの誕生とスパゲッティはとても深い関係があるそうです。小さな小箱の中には、リングと一緒にフォークの歴史を紹介した可愛らしい豆本が収められています。
【ムニエルで一服 / Okita Noritaka】
箸置きを使って食事をする、日本ならではの美しい所作を多くの人に思い出してほしいと作られた箸置きは、なんと美味しそうなムニエル!使わない時も食卓に飾って楽しめるとてもユニークなデザインです。
【Flower and ??? / Kazato Honoka】
白い紙に描かれたおしゃれな花のポスターは、切り取って組み立てるとコップになる。完成したコップだけだと、まさかポスターからできたなんて思えない。「私たちの生活は、見えないものであふれています。」というメッセージが込められています。じっくり味わい深い作品。
こちらは指導を担当されたアクセサリーブランドCHIMASKIの商品。葉っぱやテントウムシをモチーフにした小さなブローチや、お菓子の外紙で作られたジュエリーなど、人気のアクセサリーが豊富に並びます。高級な宝石にも勝る、一つ一つに思いを込めてこしらえられた小さなジュエリーたち。この機会にぜひご覧ください。
「ただの道端の石も 誰かが拾ってプレゼントしてくれたら ただの小石ではなくなるように ジュエリーは人が人を想う気持ちのことかもしれません」CHIMASKIが掲げるこのすてきなコンセプトのように、学生の皆さんが思いつくままに形にして、特別な気持ちをたっぷりと込めたかけがえのないジュエリーが並びます。ご来場をこころよりお待ちしております。
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「TABLE MANNERS」
開催期間:2020年1月21日(火)-2月3日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
京都造形芸術大学空間演出デザイン学科2回生が「テーブルマナー」をテーマに制作したジュエリー・雑貨などを販売します。
京都造形芸術大学空間演出デザイン学科2回生
CHIMASKI
(上田)