雑誌の特集、友人との会話、年末によく飛び交う話題といえば、今年読んだなかで良かった本、年間ベストについて。ただ、どの本が今年出版されたかというのは、意外と覚えていないものです。今年を思い返す手助けになれば。ということで、2019年年間を通じての書籍売上ランキングをお知らせします。
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1位『数学の贈り物』森田真生(ミシマ社)
2位『天文学と印刷新たな世界像を求めて展覧会図録』(凸版印刷株式会社印刷博物館)
3位『京都のいいとこ。』大橋知沙(朝日新聞出版)
4位『わたしを空腹にしないほうがいい』くどうれいん(BOOKNERD)
5位『たぷの里』藤岡拓太郎(ナナロク社)
6位『バームクーヘンでわたしは眠った』柳木々々 安福望(春陽堂書店)
7位『てくてく青空登山』安西水丸(ミューレン編集部)
8位『石の辞典』矢作ちはる内田有美(雷鳥社)
9位『起こさないでください』仲西森奈(さりげなく)
10位『門司の幼少時代』山田稔(ぽかん編集室)
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第1位は、独立研究者・森田真生さんの随筆集『数学の贈り物』です。無常、情緒、粋。デビュー作『数学する身体』、岡潔選集『数学する人生』、絵本『アリになった数学者』など、これまでの著作でもそうだったように、数学を基盤にしながら、哲学や経済、宗教や教育、あらゆるジャンルに縦横無尽に切り込んでいきます。刊行時には、恵文社オリジナル冊子として「ブックリスト:『数学の贈り物』と80冊 森田真生インタビュー「読書」について」を制作しました。(こちらはすでに完売しております。)来年、これからの活躍にも注目していきます。
第2位は、東京印刷博物館で開催されていた展示図録『天文学と印刷新たな世界像を求めて』です。展覧会図録がこれだけ手にとっていただけるというのも有難いことですが、人類をめぐる印刷と天文の歴史、その壮大さ、ロマンに惹かれる方も多かったのではないでしょうか。第53回造本装幀コンクールに於いて「日本印刷産業連合会会長賞印刷・製本特別賞」を受賞しました。180度ぱたんとページを開いて楽しめるように工夫された製本、美しいデザインも大きな魅力です。
第3位は、大橋知沙さんの『京都のいいとこ。』老舗や新しい店も交えながら、独自のラインナップをもっている案内のほうが面白い。普段使いの京都本。今や、ウェブ上でどんな観光の情報も得られる時代です。だからこそ、ちゃんと読み物として楽しめるガイドブックが、多くの方の手に取られる理由はよくわかります。
以上です。本年も格別のご愛顧をいただき、誠に有難うございました。また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
(鎌田)