インドの職人さんが染めるオリジナル布地を使って洋服や小物を制作されているkachua(カチュア)さんの展示会、当店では初めてのご紹介となります。初日からお目当てにご来店いただく方も多くいらっしゃいました。皆さんいろいろご試着いただき楽しくお過ごしいただいています。
使われている染料は主に「kasis」と「indigo」。kasis(カシース)、私はてっきりフルーツのカシスのことだと思っていたのですが、硫酸第一鉄という鉱物が原料と聞いて驚きました。会場にはkasisの原石や写真も展示されています。宝石のように美しいグリーンの石から、表情豊かなグレーや茶色が生まれるなんて、まるで魔法のよう。(会場の原石は、酸化して白く変色しているそうです。)お馴染みのindigoも、kachuaさんの手にかかればなんだか今までの藍染とは違う印象。
二つの染料を重ねて染めたり、染める回数で濃淡を変えてみたり。実験のようにいろいろ試してみて、初めての発見もたくさんあるそうです。失敗から生まれた美しい模様もあるそう。インドの職人さんとkachuaさんのワクワクするようなやり取りや努力が垣間見れます。
これらの布は全て、北インド北西部のジャイプールで作られています。現地の染料やインド綿、手紡ぎ手織りのkhadi(カディ)、古くからインドに伝わるプリント技法 木版更紗のひとつ、泥を防染剤に使った「ダブプリント」が施された布。いろんな工程が現地の職人さんの手によって生み出され、それがお洋服になって、巡り巡ってここ京都に届きました。プリントのズレや、染ムラがなによりの魅力。手仕事ならでは、唯一無二の美しさです。
まるで宇宙のように広がるタイダイ。天然染料ならではの落ち着いた色合いがとても上品で、心を奪われます。
こちらは無数の星が瞬く遠い夜空のよう。
たった二つの染料で、こんなにいろんな布が作られて、いろんな形のお洋服に仕立てられています。実際に着てみると、眺めているときとはまた違う印象。ぜひいろいろ試着してみてください。
今回の展示に合わせて、コラボレーション作品もお目見えしました。内納洋裁店とのコラボレーションは、初日のうちにたくさん旅立ちましたが、まだいくつか残っているのでどうぞお早めに。エッセンスのように施された心躍る可愛らしいデザイン、軽やかで肌触りが抜群のモスリンを使ったお洋服にうっとりします。
こちらのアクセサリーは、台湾のアクセサリーブランドMucaoとのコラボレーション。雲や風などをモチーフに真鍮や石でつくられたアクセサリーは、kachuaの世界観をお洋服ではなくジュエリーでお楽しみいただけます。
会場を彩る展示タイトルにぴったりの写真は、写真家のSyilvia Hatsuとのコラボレーション。まるで自然の中で同化するように美しく踊るkachuaのお洋服がおさめられています。
まばゆい陽、深い森、蒼碧と茂る木々を吹き抜ける風、しっとりと濃い緑の匂い…そんな心地よい夏の情景に迷い込むような展示になりました。ご来場をこころよりお待ちしております。
蒼天ノ森 Kachua exhibition
開催期間:2019年7月9日(火)-7月15日(月祝)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
‘蒼天ノ森’
それはとても静かで穏やかで、どこか懐かしさを感じる神聖な場所。
私たちの全ての記憶はその森に繋がっている。
今回の展示は’蒼天ノ森’をテーマにkachuaが内納洋裁店、台湾のアクセサリーブランドMucao,写真家のSyilvia Hatsuとコラボレーションした作品が並びます。
Kachuaはインドの職人と共に、長い間受け継がれた伝統技術に感謝し、愛を持って次世代につづく新しいものを創造してくことをコンセプトに、「ダブプリント」と呼ばれる、インド更紗の防染技法をメインに用い、藍の染料を基調にしたオリジナルの布地を制作し洋服や小物等を作っています。
在廊日:9・12・13・14・15日
(上田)