今回は、2018年9月の書店売上ランキングをご紹介します。
1位『バウムクーヘン』谷川俊太郎(ナナロク社)
2位『気になる京都4 あの店・あの場所』(風の駅)
3位『わたしを空腹にしないほうがいい』くどうれいん(BOOKNERD)
4位『Spectator vol.42 新しい食堂』(エディトリアル・デパートメント)
5位『色の事典』新井美樹(雷鳥社)
6位『音楽のまわり』寺尾紗穂
7位『数学する身体』森田真生(新潮社)
8位『目の見えない人は世界をどう見ているのか』伊藤亜紗(光文社)
9位『STUDIO VOICE vol.413 いまアジアから生まれる音楽』(INFAS publications)
10位『本を贈る』若松英輔島田潤一郎矢萩多聞ら(三輪舎)
いくつかピックアップしてご紹介します。
1位は、谷川俊太郎最新詩集『バウムクーヘン』。木の年輪をバウムクーヘンに例えて、全編ひらがなで綴られた大人の詩集。言葉にならない感情を、音と文字で表現した詩の数々。無垢な心にかえり、声に出して読みたい一冊です。
表紙の花はディック・ブルーナの絵です。装丁は名久井直子さん。ビビットな黄色の差し色、スピンも黄色。ひらがなのみで構成された本ながら、これだけ読みやすいということは、書体の選択、デザインが秀逸だからでしょう。ハードカバーというのも良い。持ち歩きたくなります。
3位は、盛岡の書店「BOOKNERD」が刊行した、盛岡の歌人・くどうれいんによる言葉と食をめぐる記録『わたしを空腹にしないほうがいい』。美味しい食べ方を知ったもの、CMで流れていたもの。食道楽とはまた違う、新しい食日記。こんな友人がまわりにいたら楽しいでしょうね。刊行以来、当店では人気の一冊。
4位は、おなじみの雑誌『Spectator』最新号「新しい食堂」特集。ロングインタビューが掲載された4店舗(ウナ・カメラ・リーベラ、按田餃子、マリデリ、なぎ食堂)は、それぞれ単著も出版されています。ローカルカルチャーの拠点は飲食店だと思うようになりました。本を読まなくても、音楽を聞かなくても、プロ野球が好きでも興味がなくても、美味しいものは皆好きです。私は本屋ですが参考になりました。
7位『数学する身体』
8位『目の見えない人は世界をどう見ているのか』
どちらも当店定番。それぞれの著者、森田真生さんと伊藤亜紗さんの対談が東京、「教文館ナルニア国」さんで開催されます。いつか京都でもお願いしたい、気になるマッチング。
森田さんが本文を手がけ、マリメッコ、SOU・SOUデザイナーの脇阪克二さんが絵をつけた絵本『アリになった数学者』が今朝、入荷しました。福音館書店「たくさんのふしぎ」シリーズから2017年9月号として刊行され、あまりの反響に、異例のスピードでハードカバーの絵本として再販。こちらもあわせておすすめです。
伊藤亜紗さんの『どもる体』の出版社、医学書院がTwitter上で、オリジナルTシャツが当たるキャンペーンを開催しています。告知用に当店にも一着送っていただきました。非売品のようなので、気になる方は参加されてみては。
今回はこれまで。来月もぜひお楽しみに。
(鎌田)