恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

ギャラリーアンフェール通信 9/24号

つい最近まで口癖のように暑い暑いと言っていたのに、いつも通る道からはどこからか金木犀の香りが舞いはじめ、すっかり秋らしくなりました。

いつも突然やってくる秋は、暑さで押しやられていた感覚が戻ってくるように、穏やかに日常を楽しめたりします。お出かけも楽しい季節で、秋の一乗寺はお散歩にもってこい!たのしいお店、おいしいお店もいろいろあって、ふと見上げる秋空や、道すがら道端で出会う植物がほっと気持ちを和らげてくれるよう。遠くから来られる方にも、まるで住んでいるようにのんびりした気持ちにしてくれる気がします。

そんな秋のはじまりに、この先一ヶ月もギャラリーアンフェールではいろいろな展示が目白押し。お散歩がてら読書の秋と芸術の秋が一度に楽しめる当店にもぜひお立寄りくださいませ。ご来店をこころよりお待ちしております。

 

「en delad stund・一期一会・a shared moment」

Peter Pålsson/Marina Kawata/Shoko Matsumotoによる-fikaの箱-の展覧会
2017/9/26(火)-10/2(月)10:00-21:00(最終日は18:00まで)

f:id:keibunshabooks:20170920230103j:plain

詳細:http://www.keibunsha-store.com/gallery/20170926-1002

スウェーデン、Öland島の手工芸学校で木工、陶芸、染織を学ばれた3人による展示。この島が季節ごとにみせる美しい風景を表す-fikaの箱-を展示されます。異なるジャンルを学ばれた3人が共に過ごす時間の中で生まれたコラボレーション作品で、茶道の心得「一期一会」から着想を得て生まれたという「fikaの箱」。fikaとはスウェーデンで大切にされている習慣で、みんなでお茶を飲みながら休憩する時間のことだそうです。人と人のつながり、そこに流れるあたたかい時間、誰かと過ごすささやかなかけがえのない時間。遠いスウェーデンと、日本の茶道が結びついて、どんな作品が生まれたのでしょう。展示をみた後は、きっと誰かとお茶したくなるんだろうな。そんな時間も楽しみに、ぜひお立寄りください。

 

「じぶんころし − sandglass of desire −」

Son Young-A • Park Chae-Eun 二人展
2017/10/3(火)-10/9(月)10:00-21:00(最終日は18:00まで)

f:id:keibunshabooks:20170920230107j:plain

詳細:http://www.keibunsha-store.com/gallery/5871

京都造形芸術大学の留学生のお二人による展示。画風は違えど、お二人とも一度見たら忘れられないようなインパクトのある人物を描かれています。テーマは「自分殺し」。途方もなく遠くて、とてつもなく近い「わたし」という存在を知ることは時に痛みも伴うもの。ストレートな表現から自分自身を知る術を弄るような。お二人の世界観がどのような空間になるのかとても楽しみな展示です。ぜひお立寄りください。

 

AVRIL 25周年企画展「糸でつながる」
2017/10/10(火)-10/16(月)10:00-21:00(最終日は18:00まで)

f:id:keibunshabooks:20170920230145j:plain

詳細:http://www.keibunsha-store.com/gallery/5878

ご近所の糸屋さんアヴリルさんの展示が今年も開催。なんと今年は設立25周年を迎えられるとのことで、会期中は、コテージでのワークショップ、トークなどのイベントも盛りだくさん。展示では、アヴリルとご縁のある方々の糸の使い方やアイデアが紹介されるそう。手芸が楽しくなる季節、アヴリルの色とりどりのたくさんの糸の楽しい使い道を見つけていただける展示になりそうです。
そして今回も、当店でお買物された方にお渡しする栞にアヴリルさんでお好きな糸を付けてもらえる「本と糸にまつわるspecial企画」や、当店スタッフが選んだ糸で作られた糸巻き「ペラコーン」も限定販売されます。ペラコーンはスタッフ三人でわいわい頭を悩ませながら選びました。
糸がつなぐ楽しさが詰まった展示になりそうです。どうぞご期待ください。

昨年の展示:http://keibunshabooks.hatenablog.com/entry/2016/08/19/213000

 

shiro solo exhibition「odd world」
2017/10/17(火)-10/23(月)10:00-21:00(最終日は18:00まで)

f:id:keibunshabooks:20170920230113j:plain

詳細:http://www.keibunsha-store.com/gallery/odd-world

昨年の展示も大好評だった日本画家/刺繍作家として活躍されているシロさんの個展が今年も当店で開催されます。昨年の展示では、刺繍とは思えないような立体的な作品や、緻密に描かれる絵画に、まさに度肝を抜かれました。溢れんばかりの色の洪水で、どれもドキドキするほど楽しくて心躍る作品。ユニークで可愛らしい動物たちの表情もご注目。一針一針、一筆一筆に丹念に気持ちが込められた、可愛らしいけれどとても力強い作品が並びます。きっと今回もじっくり眺めたくなる展示になりそう。どうぞご堪能ください。
昨年の展示:http://keibunshabooks.hatenablog.com/entry/2016/07/08/094200

 

・・番外編・・
LA・GOLONDRINA / ものづくり開発室ゴロンドリーナ

2017/10/7(土)-10/9(月)10:00-21:00(初日は13:00から/最終日は18:00まで)

f:id:keibunshabooks:20170920230109j:plain

昨年ギャラリーにて展示していただいた「ものづくり開発室ゴロンドリーナ」さんが、今年は当店コテージにて展示会を開催されます!木工でつくられるミニチュアの世界がとても素敵なゴロンドリーナさん。今回はワークショップも企画していただきました。そして「移動遊園地構想」というなんとも気になるプロジェクトのおもちゃも展示されるそう。物語の中に迷い込んだような素敵な世界、ぜひお気軽にお立ち寄りください。

イベント詳細はこちら:http://www.cottage-keibunsha.com/events/20171007/

昨年の展示:http://keibunshabooks.hatenablog.com/entry/2016/10/13/213000

 

<ギャラリーアンフェールでは一年先までレンタルお申込みを受付中!>
空き状況 http://www.keibunsha-store.com/about-gallery/availability
利用規程 http://www.keibunsha-store.com/about-gallery/rules
見学、相談も随時受付けています。まずはお気軽にお問合せください。
恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール(担当:上田)
E-mail:enfer@keibunsha-store.com
TEL:075-711-5919

 

(上田)

今週の新入荷、9月第4週

今週の新入荷、9月第4週をお届けします。

 

f:id:keibunshabooks:20170922213955j:plain

 ミシマ社より届いた最新刊、松村圭一郎さんの単著『うしろめたさの人類学』。 松村さんは、エチオピアの農村や中東の都市で20年近くフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困と開発援助、海外出稼ぎなどについて研究する文化人類学者。本書は、「構築人類学」という新たな学問の方法で、わたしたちが生きる一見強固に制度化した「世界」のあり方を捉えなおし、分断された個々人がどのように新しい時代の倫理を作り出すことができるかを論じた一書です。

自分たちは一体どのような制度の中で生きているのか、無意識にそれを内面化/身体化しているのか。全く異なる環境で生きるエチオピアの人々の日常的な贈与経済のあり方や豊かな共感能力との対比から、私たちが当然の前提として飲み込んでしまっている市場や国家、それらが作り出す社会のあり様がどのように構築されているのかを本書は示します。どちらが良くてどちらが悪い、という話に収斂していくのではなく、同じ世界にありながら全く異なる生き方を垣間見ることで、自分たち自身の立ち位置を相対化し、踏み越えられないと思い込んでいる原理原則や境界線を少しずつ、軽やかにずらし、新たに構築していく。様々な章立てのもと、その可能性が丁寧に語られていきます。

松村さんがフィールドワークで出会ったエチオピアの人々の写真や滞在時の日記からの抜粋が本文の合間に挟まれる構成も、ふたつのフィールドを往復しながら「世界」のイメージを更新してゆく全体の論旨に呼応するかのよう。人文書のイメージを更新するような軽やかブックデザインも素晴らしい一冊です。

10月5日には、著者の松村圭一郎さんと、代表作『ナチスのキッチン』で膨大な史料にあたりながら大文字の歴史と日常の生活文化との関係性を照射した農業経済学者、藤原辰史さんをお招きしてのトークイベント"「私」が変われば、世界が変わる? ―構築人類学の可能性― 松村圭一郎×藤原辰史"が当店COTTAGEにて開催されます。人文知を通じて、遠くあいまいな「世界」の手触りをどのように手繰り寄せることができるのか。ぜひ、こちらもご参加ください。

 

f:id:keibunshabooks:20170922214005j:plain

昨秋よりローマ、ロンドンを巡回し、現在、東京国立近代美術館で開催中(~10/29 )、戦後日本の戸建て住宅を紹介する同名展覧会の図録『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』。公共事業の建築物とは異なり、その場所の土地性や住まい手とのコミュニケーションや希望への応答など、ある種の制約を受けながら、同時にだからこそラディカルに時代性を反映してきたこの国の個人住宅の系譜。戦後復興、高度経済成長、バブル景気とその崩壊、自然災害、都市の変遷や家族のかたちの変化など、社会状況や技術環境を反映しながら、表現され、時代や都市への批評として機能してきた建築家たち56組75件の仕事を、写真や図版もたっぷりに紹介した一冊です。

f:id:keibunshabooks:20170922214019j:plain

f:id:keibunshabooks:20170922221934j:plain

本書の大きな特徴は、ただ住宅を一つずつ切り離して紹介するのではなく、「様式」「都市/家族」「産業」などの側面にまたがる13のテーマ(系譜)を設け、戦後間もなくに建てられたものから2000年代以降の現代建築家たちが手掛けた住宅まで、複数の家どうしが共有する関心や問題を批評的に浮かび上がらせることで、建築家たちが"いったい何をしているのか"を浮かび上がらせるような構成が採られていること。

単体ではそのユニークさだけが際立ちがちなそれぞれの建築家たちが時代を超え、同じ問いにどのように回答したのかを知ることで、70年の間にこの国そのものが辿った変遷や時代ごとの相貌が垣間見えてくるようです。

すぐに読み通すことはなくとも、ことあるごとに重宝しそうな非常に資料性の高い一冊です。ご来店の際はぜひ手に取ってご覧になってみてください。

 

f:id:keibunshabooks:20170922214732j:plain

f:id:keibunshabooks:20170922214805j:plain

f:id:keibunshabooks:20170922214819j:plain

パリのドキュメント写真専門ギャラリー"LE BAL"から発行された『Magnum Analog Recovery』。今年、創立70週年を迎えた国際的写真家集団「マグナム・フォト」。デジタル技術が到来する以前の最初の30年間に、報道写真として各媒体に配信された未公開作を含むプリント群を収めた作品集です。

f:id:keibunshabooks:20170922214824j:plain

f:id:keibunshabooks:20170922214828j:plain

ロバート・キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、イブ・アーノルド、ルネ・ブリ、ジョセフ・クーデルカらが切り取った、1900年代半ば、激動の時代のセンセーショナルで美しい記録の数々。色褪せることのない魅力を放つアーカイブをそのままに取り出すかのようなバインダー式の製本。冊子状のページや折込式ページ、広げればポスターになるような折りたたみページなど様々な手法でそのアーカイブが提示され、各作品の合間に差し込まれたメモや手紙などのテキスト群は、それぞれの作品が撮影された時代背景を写真家たち自身の言葉で伝えます。500部限定でこのクオリティ、数年経たずにレアブックとなること必至の作品集です。

バインダー式の製本のため痛みやすく、棚にはサンプル品をご用意していませんが、中身をご覧になりたい方は書店カウンターでご覧いただくことも可能ですので書店スタッフまでお気軽にお声がけください。

 

 その他、写真家・野口里佳の才気あふれる超初期作品群を収めた造本も美しい写真集『創造の記録 Record of Creation』、加藤直徳さんによる新たな雑誌創刊までを追うzineシリーズ『ATLANTIS zine』の3号、彦坂木版工房さんによる木版画絵本の第四弾『スープになりました』、小説編も大好評だった徳島のaalto coffee店主・庄野雄治さんによるテキストアンソロジーブック第2弾『コーヒーと随筆』、小説家・川上未映子が責任編集を担い「女性」と「書く」をテーマにかつてない執筆陣で送る『早稲田文学増刊 女性号』なども入荷しています。

 

それでは、また来週をお楽しみに。

 

《今回ご紹介した本》

■『うしろめたさの人類学』松村圭一郎/ミシマ社

■『日本の家 1945年以降の建築と暮らし』

■『MAGNUM ANALOG RECOVERY』LE BAL

(涌上)

平成二十九年秋 イイダ傘店 日傘・雨傘展示受注会

f:id:keibunshabooks:20170917215614j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917215625j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917215634j:plain

会期中最初の日曜はあいにくの台風到来でしたが、連日、たくさんのお客様で賑わっています。先にこちらの記事でもご紹介していますが、今回の受注会では日傘は新作の5種、雨傘は二十九年・春の生地よりお選びいただけます。

今回の案内状のデザインにも採用された新作テキスタイル「葉っぱ」は、緑色の植物模様を散りばめたものと、それを反転したように、葉の部分の色を抜いた紺地のものの2パターン。特に紺色のものは傘の内側の方が葉の形がくっきり、外側は絣にも似た味わいのある表情です。会場内で傘を開き検討されるお客様の姿が見れるのも、イイダ傘店さんの展示ならでは。

f:id:keibunshabooks:20170917215753j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917215808j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917215818j:plain

傘以外の商品も多数販売しています。新作のハンドタオルやご祝儀袋、2018年カレンダー。前回もご好評いただいたケータリングバッグは、傘柄と、人気のおでん柄をご用意しています。薄くて軽い傘生地を使用した大容量のこちら。使わないときはクシャクシャと丸めて、ころんとコンパクトに。お買い物や旅先で便利な品です。


会期は残り7日間、沢山のご来場をお待ちしております。

 

平成二十九年・秋 イイダ傘店 日傘・雨傘展示受注会

会場:恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール
日時:9月13日(水)- 9月25日(月)
10時 - 21時 ※最終日の展示は18時までです。

 

(田川)

 

とっとりとりどり2017 のおしらせ③

f:id:keibunshabooks:20170917195731j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917195742j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917195754j:plain

f:id:keibunshabooks:20170917195839j:plain

鳥取県の名産品や、スタッフが見つけたおいしいもの、を揃えたフェア「とっとりとりどり」が今週末より始まりました。今回は型染作家の関美穂子さんに、和紙を用いた作品もいくつか制作頂いています(詳しくは こちら)。会場の天井から吊るされた鳥や提灯型の飾りも、関さんお手製。因州和紙に型染めし、表面にはこんにゃく糊を塗り仕上げた、見かけ以上に強度のあるものです。これらの創作のきっかけは、大因州製紙協業組合付属の和紙資料館を訪れたことから。鳥取市青谷にあるこの資料館は、世界各地、古今東西の紙の資料2000点余りが収蔵、展示された場所。その中のお祭りや神事で使われていたお飾りが持つ、素朴で不思議な美しさにインスピレーションを得て生まれた品々です。

f:id:keibunshabooks:20170917195850j:plain
加えて、「鳥取にありそうなお店のマッチ」なるものも販売しています。マッチと一緒に、関さんのコメントも添えていますので、ご来場の際はあわせてご覧くださいませ。

こちらでも少しご紹介しますと…
鳥取を訪れた際に印象に残ったのは、70、80年代風の喫茶店や食堂の佇まいや店名でした。砂丘の前には、「砂丘フレンド」や「すりばち」といった飲食店、海沿いの道にはファンシーショップを思わす喫茶店があったり、なんだか味わい深いお店が沢山ありました。きっとマッチがあったら思わず持ち帰りたくなるような、そんな雰囲気です。鳥取旅行の思い出をつめた、鳥取にありそうな、あったかもしれないお店のマッチを作りました。

 

とっとりとりどり2017
9月16日〜9月29日
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー

◎コウボパン小さじいち パンの販売
9月23日(土)12時30分より 生活館フロア内にて
※今回、小さじいちさんは在廊されません。パンのみの販売です。売り切り次第、終了とさせて頂きます。

 

これまでの記事:
とっとりとりどり2017 のおしらせ①
とっとりとりどり2017 のおしらせ②

 

(田川)

今週の新入荷、9月第3週

現在、神戸のKIITOで開催中の「Robert Frank: Books and Films, 1947-2017」展。ある年上の友人にその話をしていたら、後日神戸に行ったからとその展示図録を買ってきてくれました。小さい頃父親が仕事の帰りに玩具を買ってきたときのあの気持ち。前に中国に旅行に行った同僚が私の好きなイラストレーターの作品集を買ってきてくれたこともありました。この仕事をしていると本をプレゼントされることが意外と少ないのですが、嬉しいものですね。

 

さて、今週入荷した活きの良い本を紹介する「今週の新入荷」、9月第3週をお送りします。

 

f:id:keibunshabooks:20170916211505j:plain

ロシアの児童文学やその周辺文化を紹介する雑誌『カスチョール』。実に3年の期間を空け、33・34合併号が届きました。特集は「日本人留学生が過ごした1960~1970年代のモスクワ」です。「アフリカの年」と呼ばれる1960年、多様な人材育成を目的に途上国の学生を支援するべくソ連のフルシチョフが設立した民族友好大学。カスチョールの会の主宰田中泰子さんをはじめ、そこで学んだ日本人留学生の回想記を中心に今号は構成されています。

 

f:id:keibunshabooks:20170916211603j:plain

加えて、当店でも5月に上映会を開催したアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテインへのロングインタビューや、S・マルシャークが子どもに宛てて書いた、本邦初訳の詩「ミスター・ツイスター」も収録しています。こちらの詩、とてもユニークです。アメリカの元大臣、実業家、大富豪のミスター・ツイスターがある日思いついたロシア旅行。根っからの差別主義者のツイスターさんは有色人種が大嫌い。旅先でも白人だけが泊まるホテルを探すも、ロシアにそんなホテルはなく…。この詩が書かれたのは随分昔の話ですが、まるで現在のアメリカの誰かさんを思わせます。

カスチョールという言葉は、ロシア語で「たきび」を指します。1991年の創刊以来、四半世紀に渡ってロシアの子どもの本の魅力を伝えてきた本誌ですが、次号の35号をもって終刊を予定されているそうです。専門的な内容ではありますが、ぜひこの機会に魅力的なロシア児童文学の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

 

f:id:keibunshabooks:20170916205005p:plain

ニューヨークの建築書出版社〈Princeton Architecture Press(プリンストン・アーキテクチュラル・プレス)〉が発行する絵本たち。誰もが知っているような世界中の名建築が完成するまでをイラストとともに紹介する「Who Built That?(誰が建てたの?)」シリーズから、今回は〈MODERN HOUSES〉〈SKYSCRAPERS〉〈BRIDGES〉の三冊が入荷しました。フランク・ロイド・ライトやル・コルビュジェの代表的な建築をその外観だけでなく、その完成までの過程や、なぜ革新的だったのかを平易な言葉で紹介。英語表記ではありますが、難しい表現はありませんので自然にお楽しみいただけることでしょう。単に建築を扱ったドローイング集としても魅力的です。

 

f:id:keibunshabooks:20170916205114p:plain

f:id:keibunshabooks:20170916205130p:plain

同じくPrinceton Architecture Pressが制作したスタンプキット『STAMPVILLE』もおすすめです。三角、平行四辺形、格子、レンガ柄、窓、扉、電線…、一見何とでも捉えることができる図柄をした25種類のスタンプ。紺色と黄色のインクパッドを駆使して組み合わせれば家や、ビル、工場、樹木など、私たちが街頭で目にするもの全てをスタンプから生み出すことができます。少し試してみましたが、建築を専門とする出版社が手掛けただけあって良くできています。

 

f:id:keibunshabooks:20170916205229p:plain

f:id:keibunshabooks:20170916205255p:plain

また別の出版社にはなりますが、『My First Shapes with Frank Lloyd Wright』も同じ建築を扱った絵本です。丸、三角、四角。こちらはフランク・ロイド・ライトの建築の細部を見ると多くの場面で基盤として用いられている幾何学的形状に焦点をあてて紹介するボードブックです。小さなお子さんがかたちを学ぶのにぴったりの一冊。

 

f:id:keibunshabooks:20170916205412p:plain

f:id:keibunshabooks:20170916205432p:plain

京都文化博物館で今週末まで開催中の「世界最高の写真家集団マグナム・フォト創立70周年 パリ・マグナム写真展」の図録も入荷しています。ブレッソン、キャパらが設立したマグナム・フォト。いままでにも多くの場で会員たちが撮影した写真を目にしてきましたが、今回の展示、あるいは図録は創設期から戦後、復興期、解体期、そして現在まで、世界情勢に合わせ期間が設定され、それとともにマグナムの写真もどう変わってきたか紹介する構成をしています。まさしくマグナム・フォトが歩んできた70年の歴史を総攬する一冊です。巻末にはいしいしんじさんの解説とも小説ともとれる寄稿も収録。

 

f:id:keibunshabooks:20170916205527j:plain

f:id:keibunshabooks:20170916205546p:plain

埼玉、福島県で行われた『ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて』展の図録もあわせて入荷しています。跳んだり、跳ねたり、人や動物とともに過ごした幸せな瞬間をおさめた写真たち。およそ160点の作品と、時代背景や撮影技法にまつわるコラムなど読み物としても充実しています。邦訳新刊としてはラルティーグ唯一の写真集です。

 

今週はここまで。また来週もお楽しみに。

〈今週ご紹介した本〉

■『カスチョール 33・34合併号』(カスチョール編集部)

www.keibunsha-books.com

■『WHO BUILT THAT?』Ddier Cornille(Princeton Architecture Press)

www.keibunsha-books.com

■『My First Shapes with Frank Lloyd Wright』Lydia Ortiz(mudpuppy)

www.keibunsha-books.com

■『パリ・マグナム 展示会図録』(コンタクト)

www.keibunsha-books.com

■『ジャック=アンリ・ラルティーグ 展示会図録』(コンタクト)

www.keibunsha-books.com

(鎌田)

とっとりとりどり2017 のおしらせ②

f:id:keibunshabooks:20170915171233j:plain

f:id:keibunshabooks:20170915172848j:plain

f:id:keibunshabooks:20170915171409j:plain

いよいよ今週末から開催します、とっとりとりどり。先にご紹介した因州和紙に加えて、食品もご用意しています。生地全体にお酒が効いて、じゅわっとした食感が堪らない「亀甲や」ブランデーケーキや、日本有数のミニトマトの産地、鳥取県琴浦市から届くトマトケチャップ、通常は中国地方限定販売の白バラ牛乳サブレなど、京都では手にしにくいものばかり。加えて、昨年に左京区から鳥取県北栄町に移住した「miepump」さんの珈琲豆、も並びます。

f:id:keibunshabooks:20170915172740j:plain

f:id:keibunshabooks:20170915171422j:plain
写真はmiepumpさんのお店からの景色。目の前に広がる大豆畑と麦畑。空を遮るものがない、素敵な場所です。10月末には、イイダ傘店さんの展示会も開催とのことですので、お近くの方は是非。

 

f:id:keibunshabooks:20170915172051j:plain


また、会期中の9月23日には、
大山のふもとでお店営む「コウボパン小さじいち」さんのパンの販売も行います。関美穂子さんが制作された上の図案のテーマも、大山。小さじいちさんのパンや、大山牧場で食べたソフトクリームのおいしさから生まれたイメージです。

 

◎コウボパン小さじいち パンの販売
9月23日(土)12時30分より 生活館フロア内にて
※今回、小さじいちさんは在廊されません。パンのみの販売です。売り切り次第、終了とさせて頂きます。

 

f:id:keibunshabooks:20170915171952j:plain

 

とっとりとりどり2017
9月16日〜9月29日
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー

 

(田川)

とっとりとりどり2017 のおしらせ①

f:id:keibunshabooks:20170913044459j:plain
鳥取県の工芸品や食品を集めご紹介する「とっとりとりどり」を、今年も開催!
販売物を順次ご紹介していきます。


豊かな自然と清澄な水の流れる鳥取は、古くから和紙の産地として栄え、画仙紙・半紙など書道用紙の生産量は国内随一。筆の運びが滑らかで墨がかすれず、濃淡の表現が思いのままに出来ることから「(因州)筆きれず」とも呼ばれてきました。今回は、その産地のひとつ青谷町より、因州和紙の品々が届きます。

 

●大因州製紙協業組合

f:id:keibunshabooks:20170913044547j:plain

f:id:keibunshabooks:20170913044558j:plain
便箋表紙のこの意匠に、見覚えのある方も多いはず。楮を使用した和紙として日本一の生産量を誇る大因州製紙からは、名刺や一筆箋、身近な紙文具を販売します。創業者は20代の頃に柳宗悦に出会い、 畑で採れたトウモロコシを差し上げたところ、それを包んでいた和紙の美しさを褒められたのだとか。

●長谷川憲人製紙

f:id:keibunshabooks:20170913044712j:plain

f:id:keibunshabooks:20170913044729j:plain

f:id:keibunshabooks:20170913044740j:plain

長谷川憲人製紙さんは、青谷町で三代続く手漉き和紙の工房。楮紙を主に三椏、雁皮紙等を漉いており、これまでにはスペインの美術学校等で和紙を紹介、実演したことも。

f:id:keibunshabooks:20170913044809j:plain
今回はこちらの紙を用いて、京都の型染作家・関美穂子さんに、手染の品々を作って頂きました。中でもおすすめしたいのは、国産楮100%の手漉き和紙を表紙に仕立てた、じゃばらノート。鳥取を訪れた時の思い出が図案となっています。写真左が『大山』、右側が『砂丘』をテーマとしたもの。日記やご朱印帳として、また写真を貼りアルバムとしてもお使いいただけます。是非会場にて、実物をご覧いただけましたらと思います。


とっとりとりどり2017
9月16日〜9月29日
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー

 

(田川)