雨が通過したバス停、バックパックのなかのサイダー、早朝に収穫するトマト、冷房の効いたしずかな図書室、勝手口に届く山からの風、横並びですする素麺、日暮れの田んぼの水路の音、背の高い雑草の匂い、ベランダから見える打ち上げ花火、電話越しに聞こえる声、いつの間にか選ばなくなるアイスコーヒー。
イギリスの雑誌『MONOCLE』をはじめ、国内外の雑誌や書籍のカバーなど様々な媒体で多岐に活躍するイラストレーター小幡彩貴さんは、個人作品で季節をテーマにしたイラストレーションを描き続けています。
シンプルでスマートな描線から生まれるモノトーンの世界、映画のワンシーンのように美しい構図、現実やフィクションを通じて幾度も迎えては過ぎ越してきた四季の情景。明確なストーリーは示されないままに切り取られた日常の断片は、登場人物たちの小さな心の変化や繰り返す季節のなかで生まれた記憶を想起させるような情趣をまとっています。
これまでに発表してきた作品を厳選した作品集『季節の記録』。当店でもロングセラーとなっている本作の第2版リリースを記念したフェアを現在書籍フロアにて開催中です。
作品集の発行元である東京・渋谷の出版レーベル/ブックギャラリー commune Press と小幡さんが共同で制作する活版ポストカード、ミニグラス、トートバッグ、シールなどの各種プロダクト、「夏」をテーマにあらたに制作された作品「夜の市営プール」「働いてきた逞しい二の腕が輝く朝」のリソグラフプリント、かち割り氷やホトケノザなど季節を感じさせる食べ物や花を手にして歩く人々を描いたシリーズのシルクスクリーンプリント4作品などを展開中です。
リソプリント、スクリーンプリントはいずれもナンバリング/直筆署名入り。
また壁面では、額装付きプリント作品とあわせて、小幡さんより直接お送り頂いた一部にカラーを用いた原画「夜の市営プール」「上田の高校生(男子)」の展示も。こちらも額装付きでご購入いただくことが可能です。ぜひ店頭でご覧ください。
また会期中には、東京・代田橋の立ち飲み居酒屋「しゃけスタンド」と小幡さんのコラボレーションにより生まれたTシャツとグラスも追加入荷しました。
しゃけとビール、夏らしい取り合わせは晩酌にもぴったりです。
関西ではこれまでご覧いただく機会の少なかった作品やプロダクトがずらり揃いました。この機会にぜひご覧いただければ幸いです。
季節を綴る イラストレーター小幡彩貴の世界 夏編
2018年8月9日 - 9月2日
恵文社一乗寺店 書籍フロア
■『季節の記録』小幡彩貴(commune Press)
(涌上)