額田巌『ひも』(法政大学出版局 ものと人間の文化史シリーズ)によれば、ひもの系譜を大別すると、糸を編むひも、とワラを編む縄に分類されるそう。古くは縄文人は縄で器に跡をつけていましたし、インカ帝国では縄の結び目の玉の数や形で、アルファベットや数字を表したクイプ、が発達しました。そして、そんな遠くに目を向けずとも、しめ縄や水引、帯紐にミサンガなど、私達の生活に溶けこんだ文化です。
さて話が広がりすぎましたが、現在アンフェールフロアでは、中村未来子さんのフェアを開催中です。卓上には、リネンを主な素材とした編み紐、壁面にはレモングラスやユーカリなどの植物を直接編んだり、紐に編み込んだ作品を展示しています。編み紐とは何か、と疑問に思うかもしれませんが、どう扱うかは、使う人に委ねられています。身体に巻く、結ぶ、垂らす。飾っても良いでしょう。何かを願ったり、託したりしても。
そして用途を越えて、時間の経過と、人の手が作ったという存在の大きさに心打たれます。
年明けも展示していますので、たくさんの方にご覧いただきたいと思います。
中村未来子ミニフェア
2016年12月16日(木)~1月9日(月)まで
恵文社一乗寺店 アンフェールフロアにて
(田川)