ギャラリーアンフェールでは、写真家・森本徹也さんによる「砂丘へ To the Sand Dunes」展を開催中です。森本さんは、国内外で数々の賞を受賞され、多くの広告写真を手がけられているので、きっと皆さんどこかで森本さんの広告写真を目にしたことがあると思います。今回はちょうど夏休みのシーズンに二週間、いつもとちょっと違うギャラリー空間をつくってくださいました。
鳥取砂丘といえば、一面に広がる砂色と青空のコントラスト、そこにラクダが悠然と歩いている、そんなイメージ。数ヶ月前、ギャラリーお申込みに来られた森本さんに渡された「砂丘へ」という写真集。表紙にはピントがぼやけているけれどイメージ通りの砂丘の姿。
でも、中を開いてパラパラ頁をめくると、あれ?何か変な違和感。最初何が違う感じなのかわからなくて、途中から「あ、雪の砂丘!」と気づきました。不意をつかれたような、あっけない謎解きのような、なんだかそれがやけに清々しくて可笑しくて、不思議な瞬間を味わいました。
森本さんが別のプロジェクトで冬の鳥取砂丘を訪れ、予想していなかった白い雪景色を写真に撮って、期待はしていなかったけれど帰って現像してみたらとても美しくて、この写真集が生まれたそうです。
今回は、この写真集に収録された作品が展示されています。その時の感覚を再現するように、ギャラリーは白い布で覆われて、なんだかいつもと違う場所みたい。白い砂丘とどんより白い空、白く曇った車窓…白い空間に白い写真が並びます。
見渡す限りの砂丘、大人も子どもも雪にまみれてはしゃいでいたり、物思いにふけったり。飾らない目線で、偶然カメラにおさまった、思い思いに過ぎゆく時間。きっととても冷たくて寒くて、まばゆくて、この時期だけの特別なひととき。まだ少し遠い冬をほんのり肌に感じて、心地よい空間になりました。
しばし暑さを忘れて、冬の景色に埋もれてみてください。ご来場をこころよりお待ちしております。
「砂丘へ To the Sand Dunes」森本徹也
開催期間:2019年8月13日(火)-8月26日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
元々別の企画で撮影に出かけた砂丘だが、そこに到着したら、全く予想もしていなかった雪に覆われていたというフォトストーリー。写真の偶然性や無計画性の重要性に気づき、すべてその時偶然撮ったもので構成してみた実験的な写真集です。
森本徹也
N.Y.にて、ファインアートを学んだ後、大手広告代理店製作会社を経て、2014年に森本徹也写真事務所を設立。
主に広告写真に携わり、東京ADC , N.Y.ADC , CANNES LIONS , N.Y. ONE SHOW など受賞多数。
www.tetsuyamorimoto.com
(上田)