滋賀県で草木染や染料インクを使った作品制作をされている安本麻美さん。一年前に初めて当ギャラリーで個展を開催していただき、草木染の奥深さに驚いたことを覚えています。(昨年の展示)昨年は淡く、どこか儚げにたゆたう風のような作品が印象的でした。
今回は、水しぶきのようにダイナミックに残された筆跡が力強く美しい作品が並びます。
幾重にも重ねて染め上げられた布は、深く澄んだ川のように表情豊か。夕焼け色や木々の緑に染まりうつろう水面のよう。
台の上に、木からこぼれ落ちた花々のように散りばめられた作品は草木染の小さな布で作られた小さな小さなつまみ細工たち。とてもかわいらしい作品です。
さまざまな草木から生まれる色の豊かさ。地面に生えている草木の色合いの妙に感心することもしばしばですが、染料になるとまるで想像していないような色合いになったりして、草木が隠し持ったすごい力にただただ驚きます。会期中は安本さんも在廊されているので、これは何の草木の色か聞いてみるのも楽しそう。
レジカウンターに立っているとギャラリーが一望できるのですが、錦の滝のように色とりどりに並ぶ夢のような光景についつい見惚れてしまいます。涼やかな水音が耳をかすめるよう。暑さを吹き飛ばしてくれるような清々しい展示になりました。
ご来場をこころよりお待ちしております。
安本麻美「かさなるいろ」
開催期間:2018年8月14日(火)-20日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
草木染や染料インクによるにじみを使った絵画作品や、つまみ細工の草花を制作しています。
草花から生まれる色は、人の手では表すことのできない魅力があります。草花の色をいただき、その色たちが“かさなる”ことで生まれた新たな“いろ”を楽しんでいただければと思います。
ぜひ、ご覧ください。
(上田)