恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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2017年10月書店売上ランキング

並行して読んでいる本が二冊。柴田元幸選によるジャック・ロンドン短編集『犬物語』と、編集者としても活躍する作家・松家仁之の新作長篇『光の犬』、偶然にもどちらも犬の本だと読み始めて気がつきました。そして、犬型ロボットのアイボが再発売されるというニュースを見て知りましたが、そういえば来年の干支は犬。ひとり、一足先に年越しの気分に浸った不思議な夜です。

 

それでは10月の書店売上ランキングをお知らせします。

 

1位『京都で考えた』吉田篤弘(ミシマ社)

古本屋、レコード屋、喫茶店を停留所に、作家・吉田篤弘が京都を歩き、考えたことを綴ったエッセイ

 

2位『うしろめたさの人類学』松村圭一郎(ミシマ社)

最貧国・エチオピアで20年近くフィールドワークを続けてきた文化人類学者による単著

 

3位『なくなりそうな世界のことば』吉岡乾 西淑(創元社)

世界の50の少数言語を、それぞれの地域の暮らしや習慣を紹介した一冊

 

4位『WORKSHOP BOOK アルフェテ工作室の本』(アルフェテ工作室)

ワークショップを通じて、“こどもと遊ぶ場”を生み出すグループ・アルフェテ工作室の活動を紹介した冊子

 

5位『いちご宣言0号』沼田元氣 川島小鳥(ストロベリィファーム・ファクトリィ)

師弟による「可愛良イ」ものだけを集めた写真集。現在完売中、近日再入荷!

 

6位『Spectator vol.40 カレー・カルチャー』(エディトリアル・デパートメント)

日本カレー専門店における新しい波と、その店主たちを徹底取材した一号

 

7位『お菓子の包み紙』甲斐みのり(グラフィック社)

蒐集家・甲斐みのりさんが20年の年月をかけ集めたレトロな包装紙のコレクション

 

8位『販路の教科書』越前ものづくり塾(EXS Inc.)

ものづくりに携わる人々に向けて開かれた10回にわたる連続講義の冊子版

 

9位『チャイの旅』神原博之(ギャンビット)

大阪の街にチャイを浸透させた「カンテ・グランデ」に長年勤めた著者による、レシピも豊富なチャイをめぐる旅

 

10位『街と山のあいだ』若菜晃子(アノニマ・スタジオ)

冊子「murren」を手掛ける著者による山にまつわる随筆集

 

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1位は、10月身贔屓しておすすめさせていただいていた吉田篤弘さんの新刊エッセイ『京都で考えた』です。あまり具体的な冊数を挙げるのも無粋ですが、12日の発売以来すでに100冊近く出ています。お買い上げいただいた皆様ありがとうございます。17日には吉田篤弘さんと浩美さん、クラフト・エヴィング商會のお二人をお招きしたトークショーも開催しました。そこでの内容を、すでに読まれた方に向けて少しだけご紹介できればと思います。

 

今月、中央公論新社より発売が予定されている吉田さんの著作『金曜日の本』。熱心なファンの方であれば、このタイトルに見覚えがあるはずです。世田谷文学館での展示の際に同館から発行された『おるもすと』という本があります。その発行元として記されていた架空の出版レーベルが「金曜日の本」です。今回発行される『金曜日の本』は、都内の通っていた小学校裏にあったという牧場のことなど、吉田さんがこどもの頃に体験などが書かれた内容になるそうです。装丁見本を見ましたが、デザインも厚さも判型も『京都で考えた』とうりふたつ。イベント前のブログで『おるもすと』と『京都で考えた』が双子のような本だと書きましたが、その予想は外れていて、どうやら三つ子だったようです。当店にも入荷予定です。発売を楽しみにお待ちいただければ。

  

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4位は、京都や大阪を拠点に多くのワークショップを主宰するグループ〈アルフェテ工作室〉が制作する『WORKSHOP BOOK アルフェテ工作室の本』。新刊でもなく、当店で取り扱いをはじめてからもう一年以上経ちますが、今月は特に売れました。「こどもと遊びたい大人に贈る」という目的で作られたこちらの冊子は、こどもと大人が一緒になって楽しめる工作のアイデアが掲載されています。上手い工作のノウハウが書かれているのではなく、こどもへの声のかけ方や褒め方、コミュニケーションのヒントになるコラムのようなページが目立ちます。代表のやぎさん曰く、工作教室を開いていて、よく相談されることがこどもとのコミュニケーションについてだそうです。小さな冊子ではありますが、子育てにおける様々なヒントが詰まった一冊です。来年あたり、当店でも何かご一緒できないかと計画中。どうぞご期待ください。

 

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9位は、大阪の街にチャイを浸透させた先駆的なエスニックカフェ「CANTE GRANDE(カンテ・グランデ)」で34年間勤めた著者が、チャイ、紅茶、日本茶、中国茶の美味しい淹れ方や選りすぐりのレシピを紹介しながら、かつてトータス松本も働いていたというカンテの記憶や、チャイそのもののこと、日常的にチャイが楽しまれている国々での体験に至るまで、豊富なテキストで巡る一冊です。お茶の一杯で、その一日が良いものになるという経験をみなさんもされたことがあると思います。その一杯が美味しければなおさらのこと。紅茶や日本茶に比べて、家で淹れるにはすこし敷居が高く感じるチャイ。これからの時期、本書を読んで試してみたい、そんな気にさせる一冊です。目覚めの一杯、寝る前の一杯、お茶のおともに。

 

それでは、今月はここまで。

また来月もお楽しみに。

(鎌田)