恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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2017年8月書店売上ランキング

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生活館で開催中の地方のお菓子やパンを集めたフェアで買ったモンパルノの牛乳パン。得も言われぬパッケージと、「ベビーとママの」という言い回しもなかなかですが、素朴な味とずっしりと凄まじい食べ応えで、幸福な朝を楽しむことができました。このあたりで地元のお菓子といえば、当店隣の洋菓子屋・ガトーモンブランさんのレモンケーキでしょうか。ご来店の際はぜひ。

 

それでは8月の書店売上ランキングをお知らせします。

 

1位『アリになった数学者 たくさんのふしぎ9月号』森田真生 脇阪克二(福音館書店)

数学ブックトークでお馴染み、独立研究者・森田真生さんが文章を初めて手掛けた絵本

 

2位『世界をきちんとあじわうための本』ホモ・サピエンスの道具研究会(ELVISS PRESS)

定番。あざやかで心地よい気づきと学びの本

 

3位『タラブックス』矢萩多聞 松岡宏大 野瀬奈津子(玄光社)

工芸品のように美しい絵本を作り出す南インドの小さな出版社を紹介した入魂の一冊

 

4位『ぼくはパン Je suis le pain』金子敦 金子泰子(Blood Tube Inc.)

「ウズベキスタン日記」「イラン・ペルシア日記」のデザインユニット初の絵本

 

5位『販路の教科書』越前ものづくり塾(EXS Inc.)

ものづくりに携わる人々に向けて開かれた10回の連続講義の冊子版

 

6位『百年の散歩』多和田葉子(新潮社)

カール・マルクス通り、マヤコフスキー・リング…。ドイツの街を舞台にした短編集

 

7位『ムービーマヨネーズ 創刊号』Gucchi's Free School

日本未公開の映画を紹介するリトルプレス、今週末関連上映会開催!

 

8位『埴原一亟 古本小説集』埴原一亟 山本善行撰(夏葉社)

戦前戦後の雑踏の中で忘れられた作家の古本にまつわる作品を集めた一冊

 

9位『PAIN パンの本』(Fält books)

小麦粉の袋をイメージしたパッケージも可愛らしい絵本のような写真集

 

10位『水の生きもの』ランバロス・ジャー(河出書房新社)

南インドの小さな出版社Tarabooksのハンドメイド絵本

 

 

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1位は、独立研究者・森田真生さんがはじめて絵本の本文を手掛けた絵本『アリになった数学者』です。内容に関しては以前のブログでも何度か触れたので、今回は別の事を書きます。発売時に絵本の売り場と、数学や化学を扱う棚の二か所に並べたところ、圧倒的に数学の棚から買われる方が多く、数学や思想の世界へ踏み込む手がかりとして皆様手に取られている印象を持ちました。

 

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小林秀雄賞を受賞した処女作『数学する身体』(新潮社)は、数字の発生、成り立ちを追い、岡潔とチューリングの対比から数学とは何かという問いに挑んだ一冊でした。そして、彼の関心は数学の分野にとどまらず、時に宗教の思想や哲学、身体論にまたがりながら人間とは何か掘り下げていきます。『アリになった数学者』は、そんな森田さんが普段トークイベントや著書で語る根幹に流れるものをストーリーとしてまとめた絵本と言えます。これから森田真生という書き手に出会う方も、これまでの著作を読んできた方にも手に取っていただきたい一冊です。三ヵ月に一度当店で開催している数学ブックトーク、次回は冬を予定しております。続報をお待ちください。

 

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3位は、南インドの小さな出版社〈Tarabooks〉を紹介した一冊『タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』です。8月の初週に本国から取り寄せた絵本や関連のトークイベントを開催しました。そのイベントでぜひとも販売したかったタラの代表的な絵本『夜の木』でしたが、タイミング悪く版元品切れ。実はタラブックスでは運よくその時に在庫があれば購入できるというのが普通です。製紙、印刷、製本。タラの絵本は全て職人による手作業で作られるため、重版には長い時間がかかります。本日、邦訳版第6版となる重版分の『夜の木』が入荷しています。版ごとに毎回表紙も変わるので、前回の版を買われた方にもおすすめです。

 

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7位は、日本で公開されていない映画を紹介するリトルプレス『ムービーマヨネーズ』。その完成度の高さと、扱う内容のセンスの良さから当店でも定番として人気を博しています。こちらを発行するGucchi’s Free Schoolは、日本未公開の映画から上質なものを紹介し、上映会を企画する有志による団体。『イット・フォローズ』で世界的な評価を得たデヴィッド・ロバート・ミッチェルのデビュー作『アメリカン・スリープオーバー』を日本で初めて上映したのも彼らでした。その『アメリカン・スリープオーバー』のDVD/BD発売を記念して当店にて一夜限りの上映会を開催します。上映後には吉田由利香(京都みなみ会館)、福富優樹(Homecomings)、加地猛(100000tアローントコ)のお三方によるトークイベントも企画しました。今週日曜日、日は迫っておりますがもう少し席もございますので、参加を希望される方は奮ってご予約下さい。詳細はこちらから。

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http://www.cottage-keibunsha.com/events/20170910/

 

8月は書籍に関連するイベントを多数開催しました。イベントや展示に関連した書籍がしっかりと売れているということがとても有難いです。ありがとうございます。秋にも様々なイベントを企画しております。ご期待ください。それでは今月のランキングはここまで。また来月もお楽しみに。

 

(鎌田)