ギャラリーアンフェールの一角にて、澁木智宏展『石と』を開催しております。
標本のようにならべられた「石」。それらは視覚では「石」に見えているのですが、感覚ではなにか違った印象を受けていることに気がつきます。普段、鉱物から受ける硬くひんやりとしたものではなく、体温のあるものをみているような感覚になっていることに驚きました。これはいったいなんなのでしょう。
ひとつひとつの「石」には短い一文が添えられています。
“桜の樹の下、ある犬が掘り起こした石。”“一週間前、黄金に輝いた石。”
静かにここにいる石たちが、それぞれ物語をまとっていることにはっとしました。永久的な鉱物ゆえに見てきた膨大な記憶の中の、きっとそれはほんの断片なのでしょう。石たちはこれからも変わらず、静かに途方もない長い時間を過ごしていくのだろうと、思いを馳せずにはいられませんでした。
この「石」たちは100%羊毛でできています。石は色々な種類の鉱物が集まり、成分によって色もさまざま。その沢山の色も原毛を染め分けて作られているそうです。羊毛が「石」になるまで、ちくちくと。
羊毛なので「石」なのにとても軽い。そして柔らかい。ずっとあったものなのか、澁木さんの作り出したものなのか、いろんな感覚の狭間で驚きに満ちた展示になっています。ぜひ足をお運びください。
澁木智宏展『石と』
2016.8.15(mon)- 8.30(tue)
10:00 - 21:00(lastday18:00)
恵文社一乗寺店 アンフェール
澁木智宏
(友田)