先週末、当店ワークルームでは書家・華雪さんによる、書と篆刻の講座を開催しました。
第二回目のテーマは 直線 刻まれた祈り/墓碑銘の「線」
中国の南北朝時代、江南省・洛陽の郊外に建造された大規模な石窟寺院、龍門石窟。その洞窟内に刻まれた造像記(石仏の由来を記した碑文)の中でも最も古い、牛橛造像記(ぎゅうけつぞうぞうき)をとりあげました。
石に刻まれた文字なので、上の画像は墨で文字の形を転写した拓本。
このような文字に対して、「絵を描く」道具として筆を使う方々からは、いつも疑問を投げかけられるそう。というのは、白く文字が抜かれた拓本は、ネガポジが反転したもの。文字のかたちは見てとれても、墨で書いた時の濃淡、力のかけ方がわからないので、拓本は手本とならないのではないのか、というのです。その疑問を目と手で実感してもらうのが、今回の要旨でした。
牛橛造像記の中より好きな文字を選び、筆の深度や抑揚を意識しつつゴム版に字を彫ります。彫りあげたら、ゴム版に和紙をのせ、墨を着けたタンポで叩くことで、簡易の拓本が仕上がります。文字を彫るという作業の大変さもありましたが、筆の速さや深さを意識しつつ文字を書く(彫る)のは、普段とは意識する順序が異なり、皆さん苦戦されていた様子。最終的には、反転した意識をぐるりと元に戻すように、その文字を筆で清書。筆運びによる文字の表情の豊かさ、また碑文ならではの切れ味のある文字を体感されたのではないでしょうか。
学校で教わる「習字」とはまた別の視点から、書の面白さに触れて頂ける機会です。
次回は7月31日(日曜日)
【篆刻】03:均整な「線」
【書】 03:直線 「公」の表われ/楷書の「線」
皆様のご参加をお待ちしております。
講座の詳細に関しては こちら をご参照ください。
第一回目の様子は こちら から
(田川)