恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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「あそびうた絵本」中脇初枝さんお話会が開催されました

中脇初枝さん編集、ひろせべにさん絵による福音館書店「あそびうた絵本」。ただいま開催中の原画展について先日お知らせいたしましたが、展示初日である5月25日には、編者の中脇初枝さんが来店され、あそびうたに関する楽しい催しが行われました。今日はそのご報告です。

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今回の2冊『あそびうたするものよっといで』『あそびうたするものこのゆびとまれ』の面白さや楽しさに実際に触れ、この本の成立の背景や見どころをぜひ直接中脇さんにお伺いできたらという我々の思いから実現したこのイベント。「お話会」という柔らかな呼び名で、よく晴れた土曜日に、大人や子どももまじえて和やかにスタートしました。

中脇さん自身が子ども時代を過ごした高知県での経験や思い出話、そして子どもが生まれた時に「自分の中で眠っていた遊び歌がどんどん湧いてきた」という実体験からは、各地方の言葉や言い伝え、慣習や環境から生まれてくる表現に敬意を払い、子どもの世界に愛情を持つ中脇さんの創作の姿勢が伺われます。

遊び歌のなかには、江戸や明治から続いている発祥の古いものもあれば、昭和の頃、あるいはついこのあいだ生まれたものなど様々。そして世代によって少しずつ形を変えていく。だから「あなたとあなたの子どもでは、同じ地域に住んでいても違う歌を歌うかもしれない」という言葉が印象的でした。たとえば、おなじみの「どちらにしようかな…」という”えらびうた”一つとっても、時代と地域で違うことを、実際に会場に集まった人たちに歌ってもらって検証。みなさん笑いながら、その絶妙なズレを実感していました。ちなみに、「子どもはえらびうたで思った結果にならない時は、「なのなのな」など奇数の五文字を増やして自分の好きな方に持っていくんですよね」というお話も個人的に「なるほど~」と面白く思った次第です。

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 そして、それらの遊び歌を今度はみんなであそんじゃおうと、中脇さん自身が歌や手遊びを始めます。「おちゃらかおちゃらか」「ビームフラッシュ!」など茶目っ気たっぷりに演じれば、大人は子どもにかえり、子どもは大喜び。「それ知ってる!」など元気な声が飛び交います。動画でも歌を担当されている天さんの美しい声で、実際どんな風に歌うのかも聞かせてもらいました。

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合間には絵を担当したひろせべにさんとの短いトークも行われ、ファンには貴重な時間。ひろせさんの自由な想像力に感嘆したという中脇さんが「ベスト!」と選んだのは「ぼうずがじょうずにびょうぶにジョーズのえをかいた」(「よっといで」42ページ)でした。関西の人ならば皆知っている、地元の中華チェーン「ハマムラ」の顔のロゴが絵描き歌風になっていることをひろせさんから教わってびっくりした、という中脇さんのお話にも会場が沸きます。

最後は高知県のあそびうた「まないたのうえに かみそりいっぽんのせて ぎっちょんちょんのぎっちょんちょん」(「このゆびとまれ」29ページ)で会場全員が一緒になって体を使い遊びます。「まーないたーのうえにー…」の歌が終わるごとにそのとき当たった人が一人ずつ抜けていく、中脇さんが育った四万十地方に伝わるこのあそびを通じて、あらためてあそびうたの持つ独特のリズムと楽しさ、みなでその時の空間と心を共有する喜びのようなものを感じ取れた気がします。

実際に遊ばなくとも、あそびうたは本を開き言葉にして読むだけでも楽しいもの。まだご覧になっていない方は、二冊のうちぜひどちらか一冊でも手にとって頂き、あそびうたの豊かな世界に触れてみてください。原画展も7日まで開催しておりますので、ぜひお立ち寄りください。

 

あそびうた絵本 中脇初枝お話会
2019年5月25日開催 恵文社コテージにて

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ひろせべに「あそびうた絵本原画展」
5月25日 - 6月7日
恵文社一乗寺店ミニギャラリー

 

(能邨)