恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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2018年11月書店売上ランキング

 2018年11月の書店売上ランキングをご紹介します。

 

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1位『世界のはじまり』バッジュ・シャ-ム(タムラ堂)

 

2位『サンダー・キャッツの発酵教室』サンダー・エリックス・キャッツ(ferment books)

 

3位『ちゃぶ台vol.4 発酵×経済号』(ミシマ社)

 

4位『わたしを空腹にしないほうがいい』くどうれいん(BOOKNERD)

 

5位『バウムクーヘン』谷川俊太郎(ナナロク社)

 

6位『深呼吸の必要』長田弘(角川春樹事務所)

 

7位『発酵文化人類学』小倉ヒラク(木楽舎)

 

8位『マムアンちゃん』ウィスット・ポンニミット(マーマー)

 

9位『昆虫大学シラバス黎明編』メレ山メレ子

 

10位『いっとかなあかん店京都』バッキー井上(140B)

 

1位は、南インドの出版社Tarabooks(タラ・ブックス)のハンドメイド絵本『世界のはじまり』。久しぶりに日本版の重版がかかり、表紙の色を新たにした2刷が入荷しました。タラを代表する絵本『夜の木』と同じく、ゴンドアートアーティストのバッジュ・シャームの作品です。

 

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11月30日には、9月に日本版が発売された、タラブックス『つなみ』の刊行を記念したイベントを開催いたしました。ゲストは装丁家の矢萩多聞さん、翻訳家のスラニー京子さん、三輪舎の中岡さん、そして映像作家の山根晋さん。イベントの前半では山根さんが撮影したドキュメンタリー「南インド、タラブックスの印刷工房の一日」を上映しました。前日の深夜まで山根さんと多聞さんが字幕フォントの編集作業をしていた、できたてほやほやの作品です。

 

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ここ数年、日本では各地でタラブックスの展示が催され、その名は一気に広がりました。同時に神格化されるあまり、見落とされてきた工房の人々の素顔。スマートフォンで動画を見たり、下品な話題で笑いあったり、他のインドの若者となんら変わらない彼らの姿。今回のドキュメンタリーは、これまであまり日本で紹介されてこなかった本来の彼らの姿を見事にとらえています。お近くで上映の機会がある際はお見逃しなく。

 

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2位は、スタッフいちおしの『サンダー・キャッツの発酵教室』。アメリカ、アンダーグラウンドフードカルチャーのロックスター的存在である著者の歴史的ZINE『Basic Fermentation』を邦訳し、日本語版特別ページを加え編み直した一冊です。この本にならって自宅でピクルスを漬けていると、まるでサイエンティストになったような気分で「発酵」という現象を体感することができました。発行食レシピ本と言ってしまえばそれまでですが、例えば『考える練習をしよう』などのDIY的発想法を扱った本と並べても良いかもしれません。料理は身近なDIY実践方法です。ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台発酵×経済号』、小倉ヒラクさんの『発酵文化人類学』、「発酵本」がそろってランクイン。

 

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10位は、錦市場漬物屋の主人にして酒場ライターのバッキー井上氏による『いっとかなあかん店京都』。店の案内として成立しつつ、エッセイになっている。そしてそこで語られるのは、妙に納得できる酒場の美学。「昼からの安酒場には、良い服を着ていこう。」と題したコラムも収録した、酒飲みにはたまらん一冊です。以前街中でお会いした際に、紙袋を二枚重ねて鞄としていたバッキーさん。理由をたずねると、「荷物が増えた時に二倍になるスパイの必需品や。」とおっしゃっていました。もし酒場で氏を見かけたならば、話しかけてみてはいかがでしょう。

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今月はここまで。次回は年明けに。

 

(鎌田)