スウェーデンのOland島で木工、陶芸、染織を学んだ三人が、出会い、共に過ごす時間の中で生まれた作品-fikaの箱-。「Fika」は、 スウェーデンで大切にされている生活習慣で、みんなでお茶を飲みながら休憩をする時間だそう。
島での出会い、美しい風景やその時の気持ちが、春、夏、秋、冬、4つの茶箱に込められたとても美しい作品です。
種が芽吹く春。白樺で作られた箱と、白樺と林檎の木の皮で染められた布、そしてほんのり色づく茶器。ぽかぽかした春のはじまりを思わせる一箱です。
夏は島から見える見渡す限りの水平線をイメージ。海から島を吹き抜ける爽やかな風を感じるよう。小屋のような木枠にすっきり収まるすてきなデザインです。
秋は一番最初に作った箱だそうです。木工のPeterさんの「秋は何かが隠れている」という言葉で、仕掛け箱のようなつくりの箱に収められました。
冬は雪の中で眠る動物たち。夜が明けると一面の雪景色になっていたというエピソードが星空模様の箱で表現されました。
そして壁にずらりと並ぶこちらの茶入れ。なんだか人に見えませんか?
15点並ぶこちらは、三人が学んだ手工芸学校Capellagardenの先生たちがモデルになっているそうです!優しそうな先生、怖そうな先生…三人が学生として近くで共に過ごした先生たち、きっととてもそっくりなんでしょう。壁から先生たちが見守ってくれているみたいです。
人との出会いや、過ごした時間、季節、三人の絆から生まれた作品たち。スウェーデンの景色や先生たちを知らない私たちにも、優しい思いが伝わってくる素敵なコンセプトの作品は、自分と誰かの時間さえ愛おしくなるようなとてもすてきなひとときを過ごさせてくれました。
「en delad stund・一期一会・a shared moment」
Peter Pålsson/Marina Kawata/Shoko Matsumotoによる
– fikaの箱 – の展覧会
[開催期間]2017年9月26日(火)〜10月2日(月)
[開催時間]10:00-21:00(最終日は18:00まで)
[開催場所]ギャラリーアンフェール
私たちは、スウェーデンのÖland島にあるCapellagårdenという手工芸学校で、それぞれ木工、陶芸、染織を学びました。
季節ごとに異なる表情をみせる島の風景は、どの季節のどの瞬間もそのままそっくりどこかにとっておきたくなるほど美しいものでした。
次から次へと移り変わってゆく景色やその時に感じた気持ちを形にして残したいという思いから、このÖland島の4つの季節を表す −fikaの箱− が誕生しました。
3人で展覧会のタイトルを考えていた時、“fikaの箱をつくる”というこのコラボレーションプロジェクトが私たちに与えてくれたのは、私たち3人が“共に過ごす時間”だったのだと思い当たりました。
そこで“en delad stund”( a shared moment / 瞬間を共有する)をタイトルとしました。日本語での表現を考えた時、思い浮かんだ言葉は“一期一会”。言わずと知れた茶道の心得でした。
茶道の茶箱に着想を得て生まれた、みんなでFika*をするための箱 。
このプロジェクトが私たちに “共に過ごすかけがえのない時間” を与えてくれたように、4つの −fikaの箱− が、誰かと誰かの今この瞬間を分かち合う“一期一会”を運んでくれますように。
Fika* − スウェーデンで大切にされている生活習慣で、みんなでお茶を飲みながら休憩をする時間。
(上田)