恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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―思うことを― 梶原菜穂 油絵個展

天気予報にも傘マークが増えてきて、そろそろ梅雨入り。じめじめ嫌われものの季節。でも、雨粒をたっぷり浴びた緑や、わっと咲き始める紫陽花、疎水の蛍、夜中に響く雨音に雨の匂い。雨の日はちょっと特別な、穏やかな時間が流れるようで、最近は梅雨も好きになってきました。

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梶原さんからここのギャラリーで展示したいとお預かりした作品資料を見て、真っ先に思い出したのがそんな穏やかな雨の日。ちょうど入梅の時期をご希望で、梅雨を待つのと同じように待ちわびた展示です。

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両手でやっと抱えられるほどの大きな大きなキャンバス。向こうが見えないほど大きなキャンバスを前に、思うままに描かれた絵は、先が見えない霧のような、木々が重なる深い森のような、吸い込まれそうな奥行きを感じます。静けさの中でかすかに感じる匂いや音が伝わってくるような心地よさ。

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どれもすてきですが、中でも無性に心惹かれたのがこの『冬の空気』。

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ずっと遠くの音までも聴こえてきそうな静かで微かに明るい雪の夜。澄んだ空気と心地よい緊張感。そうそう冬の空気ってこんな感じ、とうれしくて、店に立つ間もついついしばし眺めています。

梶原さんは愛媛の山の中に住んで、絵を描かれているそうです。(梶原さんブログより拝借。蜜柑の花だそうです。)

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風景画というわけではないそうですが、きっと山で見る景色がインスピレーションになっているんだろうな、と感じさせます。

いつもいろんな作品にふれた時、この作家さんの目は心はなんて素敵なんだろう、面白いんだろうと思わずにいられません。もちろん今回も。

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大きなキャンバスが並ぶ展示は久しぶりなので、向かいのベンチに座ってぜひじっくり眺めていただけたらと思います。ご来店こころよりお待ちしております。

―思うことを― 梶原菜穂 油絵個展
開催期間:2017年5月30日(火)-6月5日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール

毎日が繰り返されることがすごいな、と思っています。
風が吹いたり、雨が降ったり、水や海があったり、
花が咲いたり、朝が来たり、夜が来たり。
いつもある毎日がただ、すごいです。
「なにがいらなくて、なにが欲しいか」
「良し悪しとかもうわからないな」
「もう少しいい自分になりたいな」
「季節が変わり始めているな」
毎日の中で思うことがたくさんあります。
絵の中だけでは、
こう描きたい、こう描こう、
とは思わずに、絵を描いています。

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梶原菜穂/naho kajiwara
1981年愛媛県八幡浜市生まれ 在住
[個展歴]
2011年・2014年 愛媛県伊予郡砥部町「里山房」
2014年 東京都中央区銀座「月光荘画材店」
2016年 愛媛県伊予郡砥部町「里山房」、
    東京都中央区銀座「月光荘画材店」(月光荘賞受賞記念展)
[受賞歴]
2015年 「月光荘画材店」ムーンライト展 月光荘賞受賞


(上田)