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恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

今週の新入荷、5月第2週

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月末に開催するユーリー・ノルシュテインのアニメーション上映会に向けた、機材確認の様子。(ここで流れているのは他の映画です。)

映画館のようにとはいきませんが、大画面でみる映像というのはやはり良いもので、機会があればこっそり閉店後にでも、ひとりで好きな映画をみてみようかと企んでいます。上映会、ぜひふるってご参加下さい。

 

その週に入荷した活きの良い本をご紹介する「今週の新入荷」。

それでは、5月2週をお届けします。

 

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滝口悠生さんの手書き原稿で装われた『疾駆/chic』8号。

“浅草”をテーマにした今号では、滝口さんと浅草の町を歩きます。浅草寺を通り、色街を抜け、生粋の浅草のひとにバーで会う。玉石入り乱れた、懐かしい匂いをもつこの町を歩きながら見る風景が、眼前に浮かびあがるようです。今回誌面に使用された紙は、江戸時代に盛んに作られた浅草紙を基にした、マーメイドという名前のもの。そのざらついた触感も合わせてお楽しみください。

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自転車で通りがかったときには、気がつかなかった路地があるように、バス、電車、自転車、徒歩、そのどれもがそれぞれ別の目線をもっているとするならば、滝口さんの小説から感じるのは徒歩の目線。実は少し前、滝口さんが当店に立ち寄ってくださいました。聞けば、ずいぶんな距離を歩いてこられたそうですが、その表情には微塵もそんな様子はありません。別れ際に、このあたりで昼飯が食べられるところはありますか、と尋ねられ、本当は近所の蕎麦屋を勧めたかったのですが、あいにくの定休日。代わりにフレンチのシェフをしていた店主が営むカフェを紹介し、滝口さんが去った後で、歩いて向かうにはそこまで距離があったと気づきました。それでも滝口さんは平気で歩いたことでしょう。そうやって小説が生まれるのかもしれません。

 

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絵画のような、圧倒的な表現力で、1940年代からニューヨークの街を撮り続けた写真家、ソール・ライター。一度表舞台から姿を消すも、2006年にシュタイデル社が、個人的な写真をはじめとした初の作品集を出版して以来、再び脚光を浴びます。特に日本では近年、展覧会の開催や、ドキュメンタリー映画が上映されました。注目していた方も多かったのでは。こちらの『ソール・ライターのすべて』は、書名の通り、初期のポートフォリオ、広告写真、プライベートヌード、ペインティングなど約200点とともに、アトリエ写真、愛用品などの資料も豊富な決定版。待望の国内初作品集です。話題になったこともあり、品薄になっているそうですが、どうにか初版分を店頭用にも仕入れることができました。次回の入荷はおそらく重版分となります。初版ご希望の方はぜひお早めに。

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ドキュメンタリー映画の字幕翻訳を手掛けた翻訳家の柴田元幸さんは、本書の解説で「ソール・ライターの写真集ほど、『アメリカ人』というタイトルが似つかわしくない写真集もほかにないだろう。」と書いています。ドラマチックなシーンと鮮やかな色彩。柴田さんの指摘を読むまで考えてもいませんでしたが、たしかにソール・ライターの写真には懐かしさや郷愁を認められず、半世紀以上経った今なお新しく思えるからこそ、私たちはその作品に惹かれるのかもしれません。ホイットマン、ディキンソンの二人の詩人を引き合いに出し、同時代にアメリカで活躍した写真家、ロバート・フランクとソール・ライターの関係を比較する部分など、見事な解説でした。

 

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国内外で活躍する写真家・濱田英明が撮った、人と犬との暮らし。何気なくともかけがえのない毎日。ドッググッズブランド、フリーステッチが運営する「犬と暮らすということ」をテーマにしたウェブマガジン「ONE DAY」上で連載されたものから、9組の家族を選び編まれた写真集『ONE DAY LIFE WITH A DOG』が発売。濱田さんの光り輝くような写真に、その家の人間と犬がどのように日々を過ごしているかを書いた文章が添えられています。表紙は茶色と白の二種類ご用意。愛犬の毛色に合わせてもよし、お好きな方をお選びください。

 

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90年前後生まれの書き手たちが中心となり執筆/編集する総合批評誌『ヱクリヲ』。最新6号は、第一特集「ジャームッシュ、映画の奏でる音楽」、第二特集「デザインが思考する/デザインを思考する」の二本立て。批評だけにとどまらず、インタビューやブックガイドなどを用いて、より多角的に見つめた一冊に。

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1964年、ウォーホルが初期のクライアントのために製作した幻の絵本を復刊した、『アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし』(河出書房新社)。中毒と言っていいほどにセレブ好きだったウォーホル自身を描いたような煌びやかな一冊。

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写真家の馬場わかなさんが、自身の両親への取材を皮切りに、17組の普段の食卓を訪ね、生まれたフォトエッセイ『人と料理』(アノニマ・スタジオ)。えみおわす阿部さん、服部みれいさん、ささたくやさん…当店でもお馴染みの清々しい人々が素晴らしい料理を振舞います。レシピ付き。

 

毎週のことですが、ここに書ききれないものも多数入荷しております。

ぜひ店頭の書籍も眺めにお立ち寄りください。長くなりましたが、今回はこのあたりで。また来週もお楽しみに。

 

(鎌田)

〈今回紹介した本〉

『疾駆/chic 8号』編集・菊竹寛 (YKG Publishing)

www.keibunsha-books.com

『ソール・ライターのすべて All about Saul Leiter』(青幻舎)

www.keibunsha-books.com

『ONE DAY LIFE WITH A DOG』濱田英明(フリーステッチ)

www.keibunsha-books.com