読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

今週の新入荷、3月第3週

書籍

毎週金曜更新。

その週に入荷した活きが良い本を紹介する「今週の新入荷」、3月第3週をお届けします。

 

海外文学というジャンルが「売れない」と言われる風の中にあって、過去に出版され、その後長らく絶版状態が続いていた傑作が今になって相次いで復刊されています。この復刊ブームともいえるなかで、今ひと際目立っているのはチャールズ・ブコウスキーでしょうか。

f:id:keibunshabooks:20170317171837j:plain

最近復刊した作品を挙げてみます。高橋源一郎にして「柴田訳のブコウスキーは僕の文章の理想像」と言わしめた柴田元幸訳の『パルプ』。先日入荷したばかり、出演した人気番組をぶち壊し、機内中の酒を飲み干したというエピソードが語られたヨーロッパ珍道中『ブコウスキーの酔いどれ紀行』。未公開作品が収録された『ワインの染みがついたノ-トからの断片』。初の邦訳となった短編「アダルトブックストア店員の一日」が収録された文芸誌『MONKEY vol.11』。ブコウスキーの世界に改めて触れる良い機会かもしれません。

 

f:id:keibunshabooks:20170317172104j:plain

忘れた頃になると、思わず手にとってしまう突飛なテーマでアンソロジーを編む講談社文芸文庫。今回出版された、建築家・青木淳選『建築文学傑作選』は、単に内容が建築に関わるという意味での“建築文学”ではなく、小説の構造や手法が建築を思わせる作品を集めたという類を見ない一冊。

この説明だけを読んでもおそらく伝わってこないこの本の魅力。例えば、須賀敦子の作品のように、短い芸術評論のような節が幾重にも重なって、ひとつの小説を構成している小説があります。この幾何学が織りなす構成が、いかに建設の形式と似通っているかということを著者は“建築文学”として解説しているわけです。青木さんの解説を読んでいると、建築という言語で語られる、文芸作品のまったく新しい断面が明らかになります。収録作品も、須賀敦子、開高健、筒井康隆、川崎長太郎、青木淳悟、澁澤龍彦、芥川龍之介、幸田文、平出隆、立原道造と、抜群のセンス。特にこの並びで青木淳悟というのは、どの角度から見ても気になります。講談社文芸文庫らしく、文庫にしては刺激的な値段ですが、ぜひ買って読んでいただきたい一冊です。

 

f:id:keibunshabooks:20170317172335j:plain

兵庫県の小さな町、塩屋。そこに100年以上も前に建てられた洋館“旧グッゲンハイム邸”。長らく空き家となったのち、震災や台風の影響による老朽化で取り壊しの憂き目に遭うところを、森本アリさん家族が管理人となり引き継ぐことになりました。現在は音楽ライブなどを中心に、多目的貸しスペースとして生まれ変わり、塩屋まちづくりの中心としても認知されているようです。そんな訪れた誰もが興味をもつ旧グ邸の修復と再生の軌跡を管理人の森本さん自ら語った『旧グッゲンハイム邸物語』も入荷しています。修復時の設計を手掛けた島田陽、塩屋に馴染み深い音楽家・二階堂和美との対談も収録。安田謙一さんの『神戸、書いてどうなるのか』をお読みになった方はぜひ。

 

f:id:keibunshabooks:20170317172410j:plain

 1970年に親本が発行されてから半世紀。発売から少し遅くはなりましたが、ウィルヘルム・ライヒ×赤瀬川源平挿画による奇書『きけ 小人物よ!』復刻版も入荷しています。

 

f:id:keibunshabooks:20170317172433j:plain

そのほかにも、当店でも毎号人気の、大橋歩さん企画編集写真文章による『大人のおしゃれ 15春と夏'17』。写真家・梅澤勉、デザイナー・大原大次郎が共同企画し、インターネットを通じて東京カルチャーを牽引するインフルエンサーたちのまだ幼さの残る素顔を写したフォトZINE『#イットガーリー』。奈良の小さな本屋“とほん”が刊行を開始した『ブックレットホン 創刊号』。などなど、書店入ってすぐの新刊テーブルも賑やかに。

 

f:id:keibunshabooks:20170317172508j:plain

店内BGMのこと。

ひっそりと拡大しつつある書店内のCDコーナーから。ベルギーを拠点に、各国を旅しながら独自の音楽を生み出す、ル・トン・ミテこと、マクラウド・ズィクミューズの新しいアルバム『複合過去 条件法未来』。約70分のアルバムの中に、1分ほどのショート・チューンを詰め込んだ特異な一枚です。自作の楽器も持ち出してつくられた曲は、それぞれ個性をもちながら、通しで聴いてもまったく違和感を感じない。繰り返し聴いてしまう中毒性があります。数年前、彼が左京区に訪れていたこともあって、近所のみなさまを中心に人気です。店頭でもよく流しています。デモ・トラックを収録したカセット・テープも同時入荷。

 

《今回紹介した本》

『パルプ』C・ブコウスキー 柴田元幸訳 筑摩書房

『ブコウスキーの酔いどれ紀行』C・ブコウスキー 中川五郎訳 筑摩書房

『ワインの染みがついたノ-トからの断片』C・ブコウスキー 中川五郎訳 河出書房新社

『MONKEY vol.11』スイッチ・パブリッシング

http://www.keibunsha-books.com/shop/shopdetail.html?brandcode=000000020836&search=MONKEY&sort=

『建築文学傑作選』青木淳[選] 講談社

『旧グッゲンハイム邸物語』森本アリ ぴあ

『きけ 小人物よ!』ウィルヘルム・ライヒ 赤瀬川源平挿画 片桐ユズル訳 新評論

 

※当店オンラインショップに掲載していない本も店頭に在庫があればお手元までお送りできます。お気軽にお問い合わせください。

(鎌田)