毎年この時期になってくると数ある年末の歌番組が楽しみになってくる。最近流行りの歌のことはよくわかっていないのですが、もう日本人としての習性でしょうか。録画ではなく、リアルタイムで臨む算段が着々とついてきました。鍋をつつき、猫を膝に乗せて、気がつけばこれでもかというほど冬を満喫しています。
それでは、11月の当店書籍売上ランキングをご紹介します。
1位『寝台鳩舎』鳩山郁子 太田出版
2位『コロッケできました』彦坂有紀 もりといずみ 講談社
3位『誰も知らない世界のことわざ』エラ・フランシス・サンダ-ス 創元社
4位『まさか逆さま』中村航 フジモトマサル キノブックス
5位『世界をきちんとあじわうための本』ホモ・サピエンスの道具研究会 ELVIS PRESS
6位『記号とアブダクション』大林寛 コルシカ オーバーキャスト エクリ編集部
7位『d design travel 奈良』D&DEPARTMENT PROJECT
8位『魔女の12ヵ月』飯島都陽子 山と渓谷社
9位『一汁一菜でよいという提案 』土井善晴 グラフィック社
10位『RiCE 01 特集ごはんの味』ライスプレス
何点か、注目して取り上げてみます。
4位『まさか逆さま』は、昨年の冬、惜しまれつつもこの世を去った漫画家・イラストレーターのフジモトマサルさんと小説家・中村航さんの共著。一般から募った回文に、フジモトマサルがイラストを付け、 そこから中村航が短編作品を書くという風変わりな短編集です。残念ながら、フジモトさんが遺された著作はそのほとんどが絶版になっていますが、もうまもなくちくま文庫から吉田篤弘との共著『という、はなし』が発売予定です。
5位は、当店の定番となりつつある『世界をきちんとあじわうための本』です。靴を履くこと、呼吸をすること、あたりまえのように目の前にあり、ともすれば取りこぼしてしまう、すでに誰もがあじわっているはずの世界を、あらためて「きちんと」あじわうための、いつもとちがった「何か」、としての本。人類学者を中心メンバーとするリサーチ・グループ「ホモ・サピエンスの道具研究会」による美術展カタログの新装版です。新しく何かを知る、自分のことに気づく。何かを学ぶ姿勢としてお手本にしたい造りも美しい一冊です。
9位は、料理研究家・土井善晴さんの『一汁一菜の提案』です。一汁一菜とは、米を中心に、味噌汁と漬物でなる食事の型。毎日、毎食、完璧な食事をするというのは本当に難しい。土井さんの提案を読めば、すっと肩の荷が軽くなるような気がしてきます。
次回は年明けになります。お楽しみに。
(鎌田)