恵文社一乗寺店 スタッフブログ

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かわしまようこさん『草と暮らす』

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 オンラインショップでも既にご紹介しておりますが、このたび、かわしまようこさんの新しい本が久しぶりに刊行されました。

道ばたに生まれた小さな草花を愛し、その確かな存在を見つめ続けるかわしまさんの仕事は、ささやかな生命にも大きな宇宙があることを私たちにいつも教えてくれるようです…とは、大げさでしょうか。でも「名もなき草ではない、名も知らぬ草である」というどなたかの言葉にもあるように、我々が知らないだけのどんな小さな草花にもちゃんと名前があり命がある事のあたりまえさに改めて気づけることは素敵です。そして、この人の手にかかるとそれらの草花がたちまち輝き出すのは本当に不思議な事で、それは昔からずっと変わらないかわしまさんの力でもあります。

当店とかわしまさんの出会いは十数年前、「はなのほん」「しごとのほん」という二冊の小さな冊子を扱い出した頃からになります。「なまえのほん」「お茶のほん」など、今も続く冊子シリーズの原点とも言える作品ですが、当時はその手づくりの素朴さと愛すべき姿にスタッフも魅了されたものでした。何より「はなのほん」には本物のスプーンが、「しごとのほん」には本物のミニほうきがそれぞれの表紙にあしらわれるという独特のデザインで、そのユニークさも忘れがたいものがあります。

 

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当時の「しごとのほん」。ミニほうきはとれてしまっています。

 

それからは、ポツポツと制作される冊子を扱い、刊行される書籍を並べ、ゆっくりとおつきあいは続くのですが、「身近な草を日常的な道具を使って活けてみる」という、かわしまさんならではのワークショップも一度だけ当店で開催された事も楽しい思い出です。そのときに誕生したのが、今も販売中の「さんぽのほん 一乗寺の号」。制作にあたり、一緒に店の近辺を散歩して、叡山電鉄の線路沿いや鴨川べりを歩きながら様々な草について教わった事を今でもよく覚えています。

今回刊行の『草と暮らす』でも、身近な雑草から与えられる恵みが様々に紹介されています。心と体を調えてくれるこれらのレシピの数々には、質素ながらも独特の豊かさがあり、自然と対話し自然に向き合うきっかけを私たちにそっと教えてくれるような気がします。小さな冊子からスタートしたかわしまさんの出版物に、またひとつ新しい魅力を加えた本書を是非お手にとってご覧ください。

現在はパネル展を書店壁面で開催中、来月には当店生活館にて刊行を記念しての展示も行う予定です。それにあわせて、かわしまさん手づくりのお茶も何種類か登場する予定ですので、どうぞお楽しみに。自然から生まれた優しい味わいに心の底からホッとできる素敵なお茶です。

 

『草と暮らす こころと体を調える雑草レシピ』出版記念展

会場:恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー

会期:5月28日~6月10日

撮影を担当された藤代冥砂のプリント作品の展示、かわしまさんの書籍、お茶を販売予定。

 

(能邨)