香川に暮らすイワサトミキさん、大阪に暮らすイケダユーコさん、福岡に暮らすムツロマサコさん。海を隔て、それぞれの街で暮らす3人の絵描きによるアートブック『she see sea.』が出版されました。
冒頭に「彼女は海を見ている(=she see sea.)」という同じ一文を持ちながら、異なるタッチと展開を見せる3つのものがたりを収めた本書。
広大であまりに豊かで、ゆえに掴みがたい茫漠とした「海(sea)」は、音韻的な言葉あそびのように「彼女(she)」と「見る(see)」がその手前に置かれることで、そこに関係性と対象とが生まれ、そこからそれぞれの「彼女」と「海」との物語が紡がれてゆきます。
内面と対話するようなモノクロームの海底、いつか誰かと過ごした記憶のなかの月夜の海景、向こう岸への力づよい船出を促すような青。三者三様の個性と作家性があらわれた美しい「海」の姿は、見る人にとっての海の記憶を掘り起こし、あるいはイメージにあらたに重なり、汲めども尽きない海の豊穣さをあらためて実感させてくれそうです。手にとって、海を眺めるように、じっくりゆっくり、ページと向き合ってみてください。
そして現在、当店書店入り口横のスペースでは『she see sea』出版記念フェアを開催中です。
本書を共同で企画・出版された徳島のギャラリーショップ「uta no tane」さんと、福岡の喫茶と空間のお店「toori」さんから届いたのは、著者のイワサトミキさん、イケダユーコさん、ムツロマサコさんが制作されているオリジナルのアイテムたち。
風を感じさせる旗が印象的なイワサトミキさんの「カワラの船」、そのひとつひとつに絵柄の異なる繊細なイラストが描かれたイケダユーコさんの貝殻作品「おまもりのよに」、テーブルの上にポツンと置いてみるだけでそこに海が見えるようなムツロマサコさんの「紙の船」などなど、各作家さんたち手作りの一点物でありながら、いずれも比較的手軽な価格でご購入いただけます。
書籍とともに並べていますので、お借りしている原画作品(ムツロマサコさんの原画のみ販売可)ともあわせて、こちらもぜひ店頭でご覧になってみてください。
『she see sea.』出版記念フェア
2016年10月1日(土)〜10月15日(土)
恵文社一乗寺店 書店入り口横スペース
(涌上)