恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

今週の新入荷、10月第2週

あまりに暑かったので、思い切って大学ぶりに頭を丸めた途端に、急に寒くなり早くも後悔しています。気合は入ってよかったのですが、似合う服がありません。皆様も髪を切られる際は一度踏みとどまってみては。

 

それでは、今週の新入荷、10月第2週をお届けします。

 

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まずご紹介するのは、吉田篤弘さんの新刊『京都で考えた』です。作家が古本屋やレコード店、喫茶店を停留所にしながら京都の街を歩き、考えたことを綴った書き下ろしエッセイです。この“停留所”という表現は本文にも登場するわけですが、京都に住んでいる人であればぐっとくる言い回しではないでしょうか。と、またつらつらと書き始めてしまいましたが、これまでにしつこいほどこの本を紹介してきました。そろそろ別のことを書けと言われる頃合いかと思いますので、今回は内容ではなく、外縁に触れてみます。

 

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実はこの本が実際に届く前に、発行元ミシマ社の三島さんにその時点でまだこの世に一冊しか出来上がっていないという見本を触らせていただきました。手にとって、まず思い浮かんだのは、吉田さんの本だと触覚から伝わってくるという感覚でした。吉田浩美さんとのアート、デザイン・ユニット〈クラフト・エヴィング商會〉として、自著をはじめ、数多くの装丁をてがける吉田さんですが、そのデザインにはやはり一貫したものがあり、今回の新刊はよりその個性が色濃く出ている印象です。特に、世田谷文学館で開催されたクラフト・エヴィングの展示の際に同館より発行された一冊『おるもすと』とよく似ています。その理由は、紙か、版型か、厚さか、何か。ともかく、自分の中では双子のような本で、もしかすると皆様にも同じ感覚を持っていただけるのではという期待も込めて、久しぶりに『おすもすと』も仕入れました。この本の企画は三島さんから、私がまだ学生の頃よりお話をうかがっていて、書店員という枠を離れて、ずっと待ちわびてきた本でもあります。本書の京都で販売されているものについている帯の裏面にコメントを載せていただきました。ありがとうございます。

 

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続いては、翻訳家・柴田元幸さんが責任編集を務める文芸誌『MONKEY』vol.13です。今回は「食の一ダース 考える糧」と銘打った〈食〉特集。メインディッシュは、堀江敏幸、ブライアン・エヴンソンらの短編に、竹花いち子さんが作ったその話にまつわる料理の写真が添えられた頁です。ありそうでなかった試みで、その作品の質はもちろんのこと、新しい小説体験になることは間違いありません。ただ、食特集というと温かいスープとパンと…といった旨そうな食卓を想像されるでしょうが、そんなことはなく、柴田さん曰く「美味しそうとは言いがたい話の方が、美味しそうな話に比べて多数派になりました。」、同時にいずれの作品も「いい味を出している」とも。前号から続く特集の後編となる「日本翻訳史 明治篇」や、タダジュンさんが挿画を手がけ、柴田さんが訳し下ろしたボブ・ディランのノーベル賞受賞公演のスピーチも収録。編集者としての柴田さんのバランス感覚には毎回脱帽します。ちなみに表紙の猿の絵は長新太によるもの。

 

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今回の『MONKEY』にもアンケート寄稿をしている音楽家・小島ケイタニーラブ。柴田さんをはじめ、多くの作家と幾度となく共演すしてきた、文学のフィールドに限りなく近い存在です。今回、東京の本屋、SUNNY BOY BOOKSから発売されたCDブック『わたしたちの聲音』は、小島さんと作家・温又柔さんによる共作。ペソアや横光利一の作品を軸に、制作された物語と歌の往復書簡です。当店で小さな展示を開催したタダジュンさんの作品集を出版したのもSUNNY BOY BOOKS。実はまだうかがったことがなく、5坪しかないという小さな本屋から発信されている一連の熱に触れ、次回東京に行く際はぜひ立ち寄ってみたいと思わされました。

 

 

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最後に、もう一冊。少しでも出版業界に詳しい方はその名前を聞いたことがあるだろう東京の製本会社・美篶堂。そこが主だって活動している〈本づくり協会〉から届いた冊子『BOOK ARTS AND CRAFTS』です。実は少し前に発行されていたのですが、縁あって今回のvol.2から取り扱いをはじめました。特集は「言葉と文字と本の関係」。本が作家の言葉を伝える船とするならば、文字は櫂だろう、というなんとも詩的な一文からはじまります。メインは、詩人谷川俊太郎さんの一篇の詩のためだけに、書体設計士の鳥海修さんが文字を一から生み出すという、本好きにとっては夢のような企画を追ったドキュメンタリーです。実は、当店で開催された平野甲賀さんと鳥海さんのトークショーの際に掘り下げられた話題でもあります。谷川さんの父、哲学者の谷川徹三さんの自著へ施した書き文字の話からはじまり、長きにわたって言葉に向き合ってきた詩人と、文字そのものを見つめてきたデザイナーによる文字談義。もう一度言いますが、本好きには夢のような企画です。ご案内くださった美篶堂の上島さんは会報誌的な面もあるとおっしゃっていましたが、専門的な内容でありながら、誌面からはかなり開けた印象を受けました。vol.1もあわせて入荷しております。

 

それでは、今週はここまで。

来週もお楽しみに。

 

(鎌田)

〈今回ご紹介した本〉

■『京都で考えた』吉田篤弘(ミシマ社)

www.keibunsha-books.com

■『MONKEY vol.13』(スイッチ・パブリッシング)

www.keibunsha-books.com

■『BOOK ARTS AND CRAFTS vol.2』(本づくり協会)

www.keibunsha-books.com

AVRIL 25周年企画展「糸でつながる」

昨年の春、一乗寺に移転された糸屋さんアヴリル。叡山電鉄一乗寺駅から当店に向かう途中にあって、壁一面にずらりと並ぶ糸は前を通って目にするだけでも心が躍ります。色もいろいろ、質感もいろいろ、形もいろいろ、数えきれないくらいたくさんの種類の糸を作られています。

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そんなアヴリルさん、なんと今年設立25周年を迎えられました!ギャラリーアンフェールでは現在、25周年を記念した企画展を開催していただいています。25年という長い時間の中で、ご縁のある方々の作品や糸の使い方を紹介するというとてもすてきなコンセプトの展示になりました。

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ニット作家さんのセーターやストール等の他、アクセサリーや刺繍作品、お店などでラッピングに使われたりと、糸の使い方は本当に無限大。いろんな糸を取り扱われているアヴリルさんだからできる、多彩な作品展です。

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当店でもお世話になっている方々の作品もちらほら。書籍が人気の横尾香央留さんや三國万里子さんの作品も。当店でお世話になっている人たちもアヴリルさんの糸を使ってるんだ!となんだか嬉しくなりました。

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会場では出展作家さんの書籍も販売しています。(本の表紙になっている作品も実際に展示されています!)ぜひ手に取ってごらんください。


ギャラリーでは、当店スタッフ3人が選んだ限定ペラコーンも販売!数種類の糸を組み合わせて小さな糸巻きにされている「ペラコーン」は、アヴリルさんでも人気の商品。

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今回は「秋の夕暮れ時から、秋の夜長の読書」をテーマに、本を連れて帰る秋の夕焼け色、毛布にくるまってまどろむ読書の色、本の世界を夢で見る色の3種類をイメージして選ばせてもらいました。お気に入りが見つかりますように・・よければお土産にいかがでしょう?

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ギャラリーに並ぶ作品を眺めていると、楽しい使い方がまだまだたくさん思い浮かびそう!アヴリルさんは当店から徒歩すぐ(当店を出れば見えるくらい)なので、ぜひ合わせてお立寄りください。

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そして、ますますお店のハシゴをしたくなる特別企画「本と糸にまつわるspecial企画」も実施中!当店でお買い物をされた方全員にお配りする“オリジナルしおり”を持ってアヴリルのお店に行くと、その場で好きな糸を選んでしおりに付けてもらえるという、昨年も大好評だった企画です。当店のどのレジでもお配りしているので、アヴリルさんに立ち寄ったことがないという方も、この機会にぜひお気軽にハシゴしてくださいませ。

 

この週末は隣のコテージにてイベントも開催!出展されている作家さんのワークショップをはじめ、カフェコーナーやトーク、販売コーナーなど盛りだくさん。憧れの作家さんのワークショップとあって、連日たくさんの方にご参加いただいています。

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糸がつないだ25年。まだまだこれから先もたくさんのご縁を紡いでいかれるんだろうなと、改めて糸の魅力を見つけることができました。ご来場いただいたみなさんにもすてきなご縁が訪れますように。ご来場をこころよりお待ちしております。

 

AVRIL 25周年企画展「糸でつながる」
開催期間:2017年10月10日(火)-10月16日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール

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アヴリル設立25周年を迎え、糸の魅力、糸あそびの楽しさやアイデアを広げるきっかけとなる企画展を恵文社一乗寺店にて開催します。
編んだり、織ったり、巻いたり、垂らしたりなど、糸の使い方に決まりはなく、アイデアは無限大です。
企画展では、25年という時間の中で糸がつなげてくれた、アヴリルとご縁のある方々の素敵な糸の使い方やアイデアを展示・紹介します。
また期間中、AVRIL創作日和を開催。魅力ある作家さんによるワークショップやトークイベントもあります。
この機会にぜひお越しください。

 

[ 出展者(敬称略、順不同) ]
アウラ・ロコ/atelier KUSHGUL/atricot 笹谷 史子/岩切 エミ/eccomin 野口 智子/m.soeur/蔭山 はるみ/片山文三郎商店/グランマーブル/気仙沼ニッティング/SIONE/下田 直子/中川政七商店/西村 知子/BIZARRE/ヒロタ リョウコ/pundamilia/Paper message/Miknits(ほぼ日刊イトイ新聞)/山田 さきこ/横尾 香央留/吉川 紀代子

 

AVRIL 25th Anniversary Special Site> http://www.avril-kyoto-special.com/
関連企画コテージイベントの詳細> http://www.cottage-keibunsha.com/events/20171014/
2016年展示の様子> http://keibunshabooks.hatenablog.com/entry/2016/08/19/213000

 

(上田)

「京都で考えた」発売前夜

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京都にどんな用事があるのかと云うと、さして用事はなく、いつもそうなのだが、ひとりで街を歩いて考えたいと思っている。ふと気まぐれが起きて仏像などを拝観することもあるかもしれないが、行くところはあらかた決まっていて、古本屋と古レコード屋と古道具屋である。あとは喫茶店と洋食屋だろうか。わざわざ京都まで来てどうして、と思う人もいるだろうけれど、じぶんにとって京都という街は、そういった店々を停留所にして、あてどなく歩きまわることに尽きる。そして、歩き回ることが、そのまま考えることになる。―― 『京都で考えた』8頁より

 

明朝から店頭に並ぶ、小説家・吉田篤弘さんの新刊『京都で考えた』。本書では、百万遍や紫野、イノダコーヒー三条支店といった具体的な場所や店の名前を出しながら、作家が京都という街で、どう過ごし、どう考えたかが綴られています。

 

懐かしい匂いのするサスペンスから、こちらまで赤面するような青春モノまで、京都を舞台に書いた小説は多くとも、吉田さんの作品で京都について書かれたことはありませんでした。(予防線を張っておくとすれば、見落としは大いにありうる。)それゆえに、吉田篤弘と京都という組み合わせは意外でしたが、先に載せた冒頭の一節を読んで早くも納得しました。本書に書かれているように、点在する店を停留所にして、街をあてどなく歩き回るという姿は、紛れもなく『つむじ風食堂の夜』や『それからはスープのことばかり考えていた』の舞台になった架空の町、月舟町を彷徨う主人公の背中と重なります。月舟町には、犬のいる映画館があり、スープの美味しいサンドイッチ店があり、無口な店主が営む食堂があります。

 

まさか月舟町とは京都のことだったのでしょうか、だとすればまさに灯台下暗しといったところで、住み慣れた街も途端に輝いて見えるようです。そして京都に住む僕らも同じく、決まった場所を回遊魚のようにぐるぐると周遊することでこの街を楽しんでいます。これは、碁盤の目の中だけで全てが完結するという京都の街の狭さに起因するのかもしれませんが、古本屋に寄って、映画を見て、珈琲を飲んで、一杯やってから帰るという一連の流れが、全て徒歩圏内で済むというコンパクトさは京都の魅力といって良いでしょう。京都の居心地が良いから吉田さんの小説を好んで読んできたのか、吉田さんの作品を読んできたから京都に惹かれて住んでいるのか、今となってはどうでもいいことです。

 

おそらく、吉田さんが使う京都という地名は“街”そのものの代名詞としての機能ももっていて、本書で語られた、時間、本、小説、温泉、店にまつわるあらゆる考えは多くの場合において他の街にも同じことが言えるかもしれません。『京都で考えた』は京都の本であって、京都の本ではなく、読む人によって印象をがらりと変える一冊だと思います。切り口の多い本というのは、総じて良い本が多いですが、私にとっては“街”の本といえそうです。これから二回、三回と繰り返して読んでいきます。

 

いよいよ明日、京都限定先行発売開始。私の他に誰もいない店内、たったひとりの前夜祭。すでに棚に本は並んでおります。皆様にとってこの本が特別な一冊になりますように。

 

(鎌田)

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■『京都で考えた』吉田篤弘(ミシマ社)

装幀:クラフト・エヴィング商會

10/12より 京都限定先行販売

10/20より 全国販売開始

www.keibunsha-books.com

 

■イベント情報:『京都で考えた』吉田篤弘(ミシマ社)刊行記念イベント 
【出演】 吉田篤弘・吉田浩美(クラフト・エヴィング商會)

【日時】 10月17日(火)19:00start / 18:30open

【会場】恵文社一乗寺店

ご予約は恵文社店頭まで、残席僅か

http://www.cottage-keibunsha.com/events/20171017/

 

■フェア情報:書店内にて吉田篤弘&クラフト・エヴィング商會著作のフェアを開催中。世田谷文学館発行『おるもすと』も久しぶりに仕入れました。

 

「じぶんころし − sandglass of desire −」Son Young-A • Park Chae-Eun 二人展

ギャラリーアンフェールでは、当店ご近所の京都造形芸術大学に通う留学生お二人、孫瑛我さんと朴彩恩さんによる展示「じぶんころし − sandglass of desire −」を開催中です。

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二人のイラストのテイストは違いますが、一度見たら忘れられないようなインパクトのある作品が並びます。

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欲望に向かう二人が抱く思いから生まれた今回の展示。自分自身のことなのになんだかとてつもなく遠い存在に思える時もある不思議な存在。それを知ろうとすることは、時にとても辛かったり、傷みを伴うもの。「わたし」を探し、きちんと理解することはもしかすると一番難しいことなのかもしれません。

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「わたし」を知るために繰り返される、嗜好、欲望、葛藤、転覆、孵化というテーマで描かれた作品。陰と陽、裏と表…誰しもがどこかに抱く二面性は、まるでガラスの中を滑り下り、分かれては一緒になり、延々と分かつことの無い時を刻む砂時計。巡り巡ってすべて自分。二人が曝け抉り出したのは人間の本当の姿なのかもしれません。

 

日本語が流暢で笑顔がとてもかわいいお二人です。時間を見つけては在廊されているので、見かけたらぜひ作品についてお話してみてください。ご来場をこころよりお待ちしております。

 

「じぶんころし − sandglass of desire −」Son Young-A • Park Chae-Eun 二人展

開催期間:2017年10月3日(火)〜10月9日(月)

開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00まで)

開催場所:ギャラリーアンフェール

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「わたし」は「わたし」を知らない。「わたし」の奥に潜んでいる何かを知るため、腹を切り、ナカを見る。欲の開放は死を招くが、理解は新たな「わたし」を生み出す。嗜好・欲望・葛藤・転覆・孵化で紡ぎられた「自分殺し」の彼方に存在する「わたし」に私は会いたい。

 

孫瑛我 / ソンヨンア

韓国生まれ。2016年 京都造形芸術大学 キャラクターデザイン学科卒業。現在、京都造形芸術大学大学院 芸術研究科 芸術専攻(修士課程)在学中。

https://www.instagram.com/jadegrun104/

 

朴彩恩 / パクチェウン

平凡な大学生です。

https://www.instagram.com/99bada/

 

(上田)

Nishitomi Natsuki Stained Glass Fair

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ステンドグラス作家、西冨なつきさんのミニフェアを、アンフェール一角にて開催しています。当店で普段お取り扱いしているのは、ガラスで作られた蝶の標本作品。オオルリオビアゲハやヘレナモルフォ、美しい翅をもつ蝶は多数存在しますが、それは色のついた鱗粉に光が反射し見える構造色によるため。その特性に、光の透過性や表面に多彩なテクスチャーをもつガラスと通じるものを見出し、このシリーズを製作されています。

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今回のフェアでは標本作品もご用意頂きつつ、ステンドグラスのアクセサリーを中心に展示頂いています。素材にはガラスはヨーロッパやアメリカの色ガラスを使用し、鉛フリーのはんだ(銅と錫の混合はんだ)で縁部分を装飾しています。面と面を交差させり、枠内に浮いて見えるようにガラスを配したものなど、要素を絞りながらも印象的な意匠です。是非この機会にご覧くださいませ。


Nishitomi Natsuki Stained Glass Fair
9月30日-10月15日
恵文社一乗寺店 アンフェールフロア内

 

(田川)

shiro solo exhibition 「odd world」初日販売についてお願い

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10/17(火)からギャラリーアンフェールにて開催するシロさんの個展『odd world』。昨年開催時に初日からたくさんのご来場をいただいたため、初日オープン後の展示作品販売につきまして、以下の通りお願いいたします。
お手数をおかけいたしますが、ご来場予定のお客様は必ずご一読いただき、ご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

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 ①展示初日10月17日(火)午前9時50分から、整列順に「入場番号付きオーダーシート」をお一人一枚ずつ配布します。
※店頭に用意した表記に沿って、道路の白線内に一列にお並びください。
※周辺は住宅地となっております。近隣、通行の方のご迷惑となりますので、早くからの待機はおやめください。
※展示をご覧になるのみの場合は、入場番号なしでご入場いただけますので、整列は不要です。ご入場の際、入口のスタッフにお声かけください。(購入される可能性がある場合は、お手数ですが整列の上入場番号をお受取りください。)

 

②開店10時より、入場番号順にご入場いただきます。
※5分毎に3名ずつご入場いただきます。

 

③作家がオーダーシートをチェックし、レジへご案内いたします。
※後にお待ちのお客様がいらっしゃるため、大変恐縮ですが、スムーズに流れるようご協力をお願いいたします。(5分毎に3名ずつご入場いただきます。)

<手順>
[1]オーダーシートお客様欄のご希望作品(第三希望まで)に記入し、オーダーシートを作家にお渡しください。
[2]作家が在庫を確認し、オーダーシートにチェックします。その後レジへお進みください。
・作家のチェックがないシートはレジで受け付けられません。
・ご希望作品が売約済みになる場合がございますので、なるべくあらかじめ第三希望までご記入をお願いいたします。
※入場番号順とチェック順は同様ではございません。ご入場後のチェック順は、先着順となりますのでご注意ください。

 

④レジにてお会計をお願いいたします。
・即売作品のラッピングをご希望の場合は、お時間をいただく場合がございますのでご了承ください。
・お会計は、会期終了後お渡し作品についても、全額前払いとなります。お支払いは、現金/クレジットカード/図書カードがご利用いただけます。

 

≪ご注意≫
※「入場番号付オーダーシート」一枚につき、ご購入上限は「刺繍作品2点まで」「絵画作品1点まで」
(それ以上のご購入をご希望の場合は、レジ後、再度整列していただき整理番号をお受取りください)
※ご入場までにご希望作品が売約済みになる場合がございます。あらかじめご了承ください。
※「入場番号付オーダーシート」の配布開始時間まで、作家・ギャラリースタッフは不在にしております。整列時に万一トラブルがあった際は当方では責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
※「入場番号付オーダーシート」の配布は、展示初日10/17(火)11:00までを予定しております。(ご来場の様子をみて、配布の終了時間が前後する場合がございます。あらかじめご了承ください。)それ以降は、通常通りご自由にご入場、ご購入いただけます。

 

シロ
恵文社一乗寺店

2017年9月書店売上ランキング

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昨日、小説家の滝口悠生さんがご来店くださいました。滝口さんが買ってくださった本は、猪熊弦一郎のエッセイ『私の履歴書』。滝口さんが芥川賞を受賞した『死んでいない者』の表紙画は猪熊弦一郎の作品で、何かその組み合わせに感動しながら、レジを打ちました。著者初の長編小説となる新刊『高架線』(講談社)に今回もサインをいただきました。特典の冊子もすべて滝口さんのサインとイラスト入りです。ぜひ。

 

それでは9月の書店売上ランキングをお知らせします。

 

1位『お菓子の包み紙』甲斐みのり(グラフィック社)

蒐集家・甲斐みのりさんが20年の年月をかけ集めたレトロな包装紙のコレクション

 

2位『アリになった数学者 たくさんのふしぎ9月号』森田真生 脇阪克二(福音館書店)

数学ブックトークでお馴染み、独立研究者・森田真生さんが文章を初めて手掛けた絵本

 

3位『鶴と亀 禄』小林直博 小林徹也(オークラ出版)

ファンキーなおじいちゃんおばあちゃんを写した人気フリーペーパーが書籍化

 

4位『うしろめたさの人類学』松村圭一郎(ミシマ社)

最貧国・エチオピアで20年近くフィールドワークを続けてきた文化人類学者による単著

 

5位『販路の教科書』越前ものづくり塾(EXS Inc.)

ものづくりに携わる人々に向けて開かれた10回にわたる連続講義の冊子版

 

6位『かのひと 超訳世界恋愛詩集』菅原敏 久保田沙耶(中日新聞東京本社)

気鋭の詩人が訳し直す、いにしえの恋愛詩をまとめた詩集

 

7位『ムービーマヨネーズ 創刊号』Gucchi's Free School

日本未公開の映画を紹介するリトルプレス、現在の在庫分で終売!

 

8位『なくなりそうな世界のことば』吉岡乾 西淑(創元社)

世界の50の少数言語を、それぞれの地域の暮らしや習慣を紹介した一冊

 

9位『発酵文化人類学』小倉ヒラク(木楽舎)

ロングセラーです。発酵カルチャーの冒険、異色の経歴を持つ著者によるデビュー作

 

10位『埴原一亟 古本小説集』埴原一亟 山本善行撰(夏葉社)

戦前戦後の雑踏の中で忘れられた作家の古本にまつわる作品を集めた一冊

 

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第1位は、甲斐みのりさんの『お菓子の包み紙』です。9月の頭から中頃まで、【「お菓子の包み紙」&「地元パン手帖」合体フェア】と題し、生活館ミニギャラリーにて展示と実際にお菓子や地元パンの販売を行いました。まるたや洋菓子店のあげ潮、はしもと珈琲のakio blend、小浜食糧のクルス缶…、その土地に足を運ばない限り、普段お目にかかれない品々。我々スタッフもその素朴なデザインと味の虜に。すぐに完売となってしまったものもありましたが、ご来場いただいた皆様には甲斐さんの愛する世界を存分に目と舌でお楽しみいただけたことと思います。展示に際して甲斐さんにインタビュー形式で蒐集の魅力を語っていただいた小さなちいさな冊子『甲斐みのりさんに聞く「集めるということ」』も制作しました。今回制作した部数のみのご用意です。お早めに。

 

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第4位は、9月半ばの発売以来当店でもたくさんの方が手に取られている『うしろめたさの人類学』です。最貧国のエチオピアで20年近くのあいだフィールドワークを実施した文化人類学者の松村圭一郎さんによる著作。例えば、人は生まれ持って「男らしい」のではなく、社会の制度や習慣の中で「男らしさ」を身につけるように。構築された概念やイメージは事物を規定し、ときに除外する。そこに何ら正当性はない構築されたものへの批判を叫び続けるのではなく、どうやったら構築しなおせるかという問いへの転換を促す「構築人類学」という新しい学問手法を扱った、あらゆる可能性に溢れた一冊です。他者との関り、寛容さ。安易な表現を使うならば、日常を息苦しく感じている方は読んでみてください。パッと目の前が明るくなるかもしれません。

 

なお、明日の夜には松村さんと、『ナチスのキッチン』などの著作で知られる藤原辰史さん、ふたりの人文学者によるトークイベントを開催します。19時開演、お席ご用意できますので、お時間のある方はぜひご参加ください。詳細はこちら

www.mishimasha.com

 

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第9位は、5月の発売以来継続して売れている『発酵文化人類学』です。「美術手帖」10月号の「新しい食」特集に著者の小倉ヒラクさんが登場したこともあり、発売時の勢いが再燃。発酵とはなにか、時にその微生物への愛を爆発させながら掘り下げられたユニークな一冊です。気になっていたという方は、まず「美術手帖」の特集を読むのも良いかもしれません。〈人類学〉を扱った本を二冊並べて紹介してみました。顕微鏡で覗くように、細かな部分から社会を見る。狭い世界を扱っているようで、何事にも通用し得る普遍性をもった本たちです。こういった本も積極的に取り上げていきたいと思います。

 

それでは今回はこのあたりで。

また来月もお楽しみに。

 

(鎌田)