恵文社一乗寺店 スタッフブログ

恵文社一乗寺店の入荷商品やイベントスケジュール、その他の情報をスタッフが発信いたします。

SHIMOKITAZAWA in KYOTO 大野舞原画展

店内の小さな展示のご案内。

 

まず、全く関係のない話題から。

話題書でもある『もし京都が東京だったらマップ』という本をご存知でしょうか。京都の土地を、それぞれの特徴を鑑みた上で、東京の土地に置き換えるというユニークな試みがされた本書。著者の岸本千佳さんの分析によれば、私たちの住む一乗寺は荻窪に近いそうです。では、下北沢はどうでしょう。意外とお洒落さの微塵もない我らが一乗寺ですが、下北沢に近いところもあると思いませんか。

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2月中、吉本ばななさんの『下北沢について』などの装画を手がけるイラストレーター・大野舞さんの原画展「SHIMOKITAZAWA in KYOTO」を書店の一角にて開催しています。

 

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まるで童話の世界のような、可愛らしいイラストのポストカードやカレンダー。

 

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そして、下北沢といえば本屋。DARWIN ROOM、気流舎、そしてB&B。

大野さんがイラストを手掛けているB&Bオリジナルグッズや、普段下北沢でしか買えない小冊子版『下北沢について』も会期中限定で特別に販売いたします。(B&Bさんありがとうございます。)

ご来店の際は、ぜひお立ち寄りください。

 

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SHIMOKITAZAWA in KYOTO

会期:2017年2月1日 – 2月28日

書店奥のスペースにて

 

(鎌田)

今週の新入荷、2月第1週

毎週金曜日、その週に入荷した活きが良い本をご紹介。

 

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今週の一冊目は、画家・猪熊弦一郎初の写真集『ニューヨークの壁/WALLS IN N.Y.C.』です。アンリ・マティスに学び、フランスをはじめ海外での滞在を通じてその見聞を広げた猪熊弦一郎。フランスに渡る途中ではじめて訪れたニューヨークに魅了され、その後20年間、同地に拠点を置き、活動を続けます。

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写真好きでもあった彼が、そのとき出会った街中のガラクタや、落書き、広告の剥がし跡を写し取った作品を半世紀の時を経て編纂された写真集がこちらの一冊です。注目していただきたいのは、おそらく本人によるものだと思われる、スライドの余白に書き込まれた文字や印です。他の写真集にはないこの書き込みがより一層この作品群を独特のものへと仕上げているのではないでしょうか。これらの写真が撮られたのは、1950年後半から1960年代。その後グラフィティ・アートが街に溢れかえるよりも以前にその萌芽を見出していたあたり、感心するほかありません。

 

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「たがいに無関心を装いながらゆるい坂道をのぼってきた人々の大半が、丘のうえの交差点を直進して、目的地の絞られる一本道へとぞろぞろ入り込んでいく。」

011p 青少年のいる光景より

 クラシックミュージックに捧げる、堀江敏幸初の音楽エッセイ『音の糸』。冒頭の一文を読み、たしか帯にはエッセイと書いてあったはずだと、思わず一度本を閉じ、表紙を見なおします。とたんにそのあまりに端正な文体には、その線引きが無意味だったことを思い出し、あらためてその世界へ。音楽に明るい方はなおさらのことでしょうが、自らの体験を田中小実昌調に書いていたり、さすがのセンスに、クラシックに明るくない私も存分に楽しめました。

こちらの作品が連載されていたのは『クラシックプレミアム』というCD付きの雑誌。堀江さんの文章は逐一追ってきたつもりでしたが、どうりで見逃していたわけです。

 

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昨日入荷したばかり、写真家・植本一子さんのひりつくような日常の記録『家族最後の日』。母との絶縁、義弟の自殺、そして夫の癌。日記を書くことからはじまった家族と向き合うための日々。光り輝くような植本さんの写真とは対照的に、誰しもが抱える心のうちの薄暗い部分が淡々と綴られているがゆえに、ひとつひとつの何気ない心情が、どうしようもなく読む者に突き刺さります。「今を生きてる?」と私たちに問いかけ、同時にそっと傍に寄り添っていてくれる一冊です。※サイン本は完売しました。

 

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ロンドンのインディペンデントプリンティングスタジオ、Hato Pressより発行されている、ロンドン在住のアーティスト、ジェイ・カバーのイラスト作品集『Flat』。マティーノ・ガンパー、チャールズ&レイ・イームズ、マックス・ラムなどのデザイナーたちの家具が置かれた室内に、様々なスケールの動物たちが限りなくシンプルな味のあるタッチで描かれています。発色も鮮やかな一冊です。

 

その他、年に一度のお楽しみ、みすず書房のPR誌『みすず 読書アンケート号』、黄色い表紙が目印の『Spectator vol.38』赤塚不二夫特集(特典ノートブック付き)、鳥好きにはたまらない「WONDERVOGEL/渡り鳥」特集の小冊子『murren vol.20』、昭和から続く名店とその時代を築いてきた者と、それを継いだものへのインタビュー集『昭和の店に惹かれる理由』など、魅力的な新刊が多数入荷しております。

 

店内BGMのこと。

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最近頻繁に流している、オレゴン州の小さな町に生まれたシンガーソングライターLaula Gibsonの「Empire Builder」(当店でも近日取扱開始!)。優しく可憐な彼女の歌声とキャッチーな旋律が見事に融合した傑作です。先日、京都アバンギルドでのライブでは、ギターとピアノを持ちかえ、ときどきワインを口にしながら、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。店頭にお越しの際は、耳を傾けてみてください。

 

それでは長くなりましたが、また来週どうぞお楽しみに。

 

《今回紹介した本》

『ニューヨークの壁』丸亀市猪熊弦一郎美術館

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020779/

『音の糸』堀江敏幸 小学館

『家族最後の日』植本一子 太田出版

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020804/

『Flat 2nd edition』Jay Cover Hato Press

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020795/

(鎌田)

金城貴史 木の匙 展 2

先にこちらでもご紹介しました、木工作家・金城貴史さんの木匙の展示会にあわせて、会場ではジャムの販売も行います。

菓子研究家・いがらしろみさんが手掛けるジャム専門店、Romi-Unie Confitureからは、定番の80gサイズを6種類、ご用意いただきました。

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(上の写真は、「Maison romi-unie」のレシピを再現できる『BISCUIT BOOK』より。こちらの書籍も、当店では長くご好評頂いています。)

 

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ジャムのラインナップは以下の通り:

Anniversaire(アニヴェルセール)税込700円
いちごとフランボワーズの甘酸っぱいジャム。なんにでもよく合う定番品。

Caramel Bretagne(キャラメル・ブルターニュ)税込760円
発酵バターの入ったほろ苦いキャラメルクリームにフランス・ゲランドの塩をアクセントに加えたもの。

Cache-Cache(カシュ・カシュ)税込700円
フランス産いちじくと酸味のあるカシスを合わせたジャム。チーズにもよく合います。

Gris-Gris(グリグリ)税込700円
さっぱりキウイに甘い香りのバナナをプラス。爽やかさとコクを楽しめます。

Mademoiselle(マドモワゼル) 税込760円
フランス産のプラム・ミラベルに、ミラベルのお酒で香りをつけたジャム。

Citrus Pamplemousse(シトラス・パンプルムース)税込760円
国産グレープフルーツとビートグラニュー糖のみで作ったマーマレード。こちらはイギリスで開催されている国際マーマレードアワード2016で金賞を受賞。

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※お電話でのお取り置き、ご予約はご遠慮頂いております。ご了承のほどお願いいたします。

 

このたびジャムをご用意頂くRomi-Unie Confiture(いがらしろみ)さん、mitsukojiさんともに、最近出版されたばかりの書籍『なにのせる?』でもお菓子を掲載されています。生活館にて販売していますので、ご来店の際は、あわせてご覧いただけましたらと思います。

 

(田川)

金城貴史 木の匙 展

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一風変わった形をしている匙。
こちらは、瓶の底に残ったジャムを、きれいにすくい取れるようにと作られた商品です。作り手である金城貴史さんが、どのような瓶でも隅々まで掬えるようにと、辿り着いたこの形。ジャムを塗った後は、瓶の口に引っ掛けておくこともできるので、匙の置き場にも困りません。はちみつや、瓶詰の調味料が底に残ってしまってもったいない、そんな時にも活躍してくれます。痒いところに手が届く、新しい形のカトラリー。使ってみたくなりませんか?
金城さんが4年以上作り続けているこの作品は、工芸都市高岡2016クラフトコンペティションで奨励賞を受賞しました。口当たりの良さ、また経年変化が美しく出るようにと、仕上まで刃物を使って作られているのも良いところ。山桜、ホオ、クリ、ミカン、カエデ、ヤマモモ、クヌギ、様々な樹種の色や表情を見比べるだけでも楽しめます。

そんな「金城貴史 木の匙 展」は、2月4日より生活館ミニギャラリーにて開催いたします。ジャム匙以外にも、カレーにちょうど良い大きめのスプーン、蓮華、おしゃもじ等を揃えています。

同展では、匙にあわせておいしいジャムもご紹介します。
一つは、菓子研究家である、いがらしろみさんが2004年、神奈川県鎌倉にオープンしたRomi-Unie Confitureの商品。(今回は6種ご用意頂きました。ラインナップは追ってご紹介いたします。)

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もう一つは、東京都三鷹にて活動されているmitsukojiさんのもの。
今が旬である、金柑独特の苦味と甘みがまっすぐに感じられる「金柑とキャラメルのマーマレード」をご用意しています。果実の甘みがギュッと詰まったおいしいジャムは、お土産や贈り物にもぴったりです。

 

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ぬくもりある手仕事に触れると、気持ちもほんのりと温かくなるようです。冷え込む季節ではございますが、皆様のお越しをお待ちしております。

 

金城貴史 木の匙 展
2月4日〜2月17日
恵文社一乗寺店 生活館ミニギャラリー



(秀野)

 

2017年1月書店売上ランキング

気がつけば、2月。

2月といえば、明日から左京区最大のお祭り吉田神社節分祭がはじまります。今年も正月に店頭に出していたお飾りを吉田神社に納める大役をまかされました。季節を感じながら働けるというのは幸せなものです。私が生れ育った土地では節分にどんど焼きという大きな火を焚く風習がいまだ残っています。調べればどんど焼きは通常小正月(1月15日)に開催されるものだそうですが、なぜ地元では節分に行われているのか謎のままです。

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さて、2017年1月のランキングはこのようになりました。

 

1位『野菜たっぷりすり鉢料理』宮本しばに アノニマ・スタジオ

2位『一汁一菜でよいという提案 』土井善晴 グラフィック社 

3位『世界をきちんとあじわうための本』ホモ・サピエンスの道具研究会 ELVIS PRESS

4位『珈琲のはなし。』高橋マキ

5位『京都の中華』姜尚美 幻冬舎

6位『という、はなし』吉田篤弘 フジモトマサル 筑摩書房

7位『茨木のり子の献立帖』平凡社

8位『冬の本』夏葉社

9位『千明初美作品集 ちひろのお城』千明初美 復刊ドットコム

10位『うれしいセーター』三國万里子 ほぼ日

 

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1位は、すり鉢を使った料理・食卓を提案する新しいタイプのレシピブック『野菜たっぷりすり鉢料理』です。1月中、著者の宮本しばにさんが運営するキッチンツールサイト「studio482+」でも紹介されている山只華陶苑のすり鉢フェアを開催しました。絵付きのものや、素朴な色合いのすり鉢がずらり。実際に手に取ると食卓に並べたときのイメージが次々に膨みます。21日には実際にしばにさんをお招きしたワークショップも。私もおにぎりをご馳走になりましたが、炒った胡麻をパッとかけるだけのシンプルな味付けとは思えない美味しさでした。 

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7位の『茨木のり子の献立帖』は、茨木のり子が残した膨大な日記やスクラップブックから、レシピを書き出し、茨木家の食卓を再現した一冊です。本書をはじめ、茨木さんの著作はそのどれもが凛とした佇まいをしています。著作を集めた特集を店頭にて開催中です。普段、詩歌の棚に一冊並んでいる姿も魅力的ですが、集まって並んだ様子も壮観です。

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8位は、昨年末待望の重版がかかった『冬の本』。吉田篤弘さんの「すべての本は冬のためにある。」という言葉に触発されて、今冬、至るところでこの本を紹介してきましたが、冬もあと少しということで、最後にもう一度だけ。84人の愛書家が冬にまつわる本を思いおもいにめぐるこちらのエッセイ集、発売から4年が経ちましたが、改めてトップ10にランクインです。1月は思い返せば、雪がたくさん降りました。「雪が降れば本屋が儲かる」。(実際、そんなことはない。)そんなくだらないことを考えながら、雪の日に『冬の本』を手に取られる方を見かけては、心の内で喜んでいました。

 

それでは、今回はこのあたりで。

また来月、お楽しみに。

 

(鎌田)

今週の新入荷、1月第4週

早いもので1月も終わりが近づいてきました。朝晩は最も冷え込む季節。暖かくした部屋でゆっくり本を読み、いつしかうとうと眠りに落ちるのもまた読書の醍醐味のひとつですね。
今週も良い本がたくさん入荷しております。

 

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今週まずご紹介したいのが、幻の漫画の復刻版『ちひろのお城 千明初美作品集』。『黄色い本』や『ドミトリーともきんす』などでおなじみの漫画家・高野文子さんが全面的に企画・監修を担当され、書籍のカバーデザインや帯文まで手がけられた、愛に満ちた一冊です。70年代後半にたった3冊の単行本が刊行されたきり、長らく陽の目を見ることのなかった千明(ちぎら)さんの少女漫画は、学童期や思春期を迎えた少年少女たちの繊細で多感な心の交流と成長を生き生きと描いたもので、収められた5編はいずれも名作揃い。高野さんが『黄色い本』を書き上げたあと、自身の作品にその影響が色濃く反映されていることを自覚されたという「お二階は診察室」は、昭和30年代、まだ自宅で出産する人の多かった時代の助産婦さんの娘を主人公に据えた作品で、細かい描写やさりげない会話の中に往時の暮らしぶりがうかがい知れる貴重な一編。当時を知る人には懐かしく、若い世代には新鮮な輝きを見せる可愛らしい一冊です。

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ご購入のお客様には、ポストカード特典と、千明作品のディテールへの偏愛ぶりを自ら描いた高野文子さんのメッセージペーパー特典をお付けします。数に限りがございますので、気になる方はお早めにぜひ。

 

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ロンドン在住のイラストレーター、Emily Randの作品集『In The Garden』も今週届いた楽しい一冊。描かれたイラストの線に沿ってページの上部がカットされた冊子状の作品で、ページを開くごとに種類の異なる木々が立ち並ぶ庭をずんずんと先へ歩くような奥行きを感じ取れる仕掛け。紙メディアならではの遊び心が詰まっています。開いた状態で置けば、可愛らしいオブジェにも様変わり。ふわふわと庭を漂う赤い羽根を追いかけて行き着いた先には?ぜひページを開いて確かめてみてください。

 

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都市空間における人々の記憶を書籍としてまとめアーカイブしていくことを目的としたTOO MUCH Magazineの新しいブックシリーズ「Romantic Geographic Archive」。シリーズ第1弾は、アメリカ・ロサンゼルス在住のフォトグラファー、エイミー・スー(Ami Sioux)の『AMI SIOUX TOKYO 35ºN』。東京に住む生活者50人にそれぞれの大切な場所を手描きの地図で表現してもらい、その地図を頼りに都市を歩き、ひとつひとつの場所を訪れカメラに収めたコンセプチュアルな写真集です。誰かの記憶を経由することで見知った風景もこれまでと異なった表情を見せることの不可思議さ。何より、写真とともに掲載された手書きの地図に表れた個々人の差異そのものが、街と人の関係の多様性を示唆するユニークなものばかり。カバンに入れて持ち歩き、他者の描いた線を辿る旅もきっと楽しいものでしょう。

 

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最後にご紹介するのはこちら。陶器やファブリック、版画などを制作する福岡県在住のアーティスト、鹿児島睦さんが手がけたお皿と、10人の料理家たちが作るおやつの幸福な出会いを収めた写真絵本『なにのせる?』。カラフルで可愛らしい動植物が生き生きと描かれたお皿に乗ったプリンやクッキー、ケーキや果物、ドーナッツやカステラ、おはぎやおにぎりの美味しそうなこと!おやつを準備したのは、内田真美さん、いがらしろみさん、桑原奈津子さん、なかしましほさん、たかはしよしこさんなど、当店でもおなじみの人気の料理家ばかり。それぞれのレシピも巻末にて紹介されています。お気に入りの陶器を見つけたときの胸の躍るようなわくわくが思い出される素敵な絵本です。

 

その他、長崎訓子さん責任編集の漫画特集が保存版になりそうな『飛ぶ教室48号』、映画に登場する印象的な食のシーンを羅列したチープな魅力が満載の『Cooking with Scorsese』シリーズ2タイトル、これまでにも様々な文芸作品を漫画表現に落とし込んできた近藤ようこさんによる夏目漱石原作の『夢十夜』、全国の書店員や本屋好きの方々には待望の2冊、大井実さん『ローカルブックストアである 福岡ブックスキューブリック』と、荻窪の本屋・Titleの辻山良雄さん『本屋、はじめました』なども入荷しています。

それでは、また来週をお楽しみに。

 

《今回紹介した本》
『ちひろのお城 千明初美作品集』復刊ドットコム

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020777/

『In The Garden』Emily Rand/Hato Press

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020744/

『AMI SIOUX TOKYO 35ºN』TOO MUCH Magazine

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020775/

『なにのせる?』鹿児島睦/文化出版局

http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000020776/

 

(涌上)

ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」

フランスの画家、ロベール・クートラス(1930-1985年)。「現代のユトリロ」と称されながらも自ら画壇を離れ、貧しい生活の中で作品をつくり続けたそうです。彼の作品集『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』 (エクリ刊)の出版を記念して、このたびギャラリーアンフェールでは『ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」』を開催中です。

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自分の本当に作りたいものに生涯をかけたクートラス。彼がこの世を去った後も残された作品たちには、彼の体温―頬を伝う涙のような、けだるいため息のような、静かなぬくもりがいつまでも宿っているよう。キャンバスの中にぎゅっと込められた人間的な感情や体温が静かに確かに伝わってきて、時に胸をしめつけ、時に安らぎを与えてくれる、対話しているような感覚があります。そんなクートラス作品がギャラリーに登場。絵画、デッサン、オブジェ作品などが集まりました。

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こちらは特にクートラスならではの作品ではないでしょうか。拾い集めた厚紙を切って毎夜描きためられたという「僕の夜」と名付けられたカルト作品。

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手札サイズにこだわり、物語のように展開されたものや、タロットカードのようなもの、ユーモラスな絵柄など、数千におよぶ多数の作品が残されました。手のひらに乗る程の小さなカード。子どもの頃に集めた秘密の宝物のよう。

 

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クートラスが過ごした家や作品の数々が収められた写真は、写真家 平地勲さんの作品。クートラスの小部屋に招かれ、作品をみせてもらっているような優しい表情の写真が並びます。

 

作品集『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』(エクリ刊)はもちろん、クートラスの関連書籍も取り揃えました。収められた作品を楽しむことはもちろん、どの書籍も寄稿された文章やクートラスのさまざまなエピソードが、どれもすてきな言葉で綴られていて、じっくり読みながら作品をより深く味わっていただけます。

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はじめて出会ってもどこか懐かしい感覚に包まれるクートラス作品。クートラスをご存知の方もそうでない方も、一人でも多くの方に出会っていただけますように。この機会に、ご来場をこころよりお待ちしております。

 

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また大山崎山荘美術館では『ロベール・クートラス「僕は小さな黄金の手を探す」展』も開催中です。作品の空気感にぴったりの冬枯れの山荘で出会うクートラス作品は、時間を忘れて過ごしたくなる心地よさでした。ぜひこちらも足をお運びください。

前期:~1月29日(日)/後期:1月31日(火)~3月21日(日)

詳細は大山崎山荘美術館ホームページにてご確認くださいませ。

http://www.asahibeer-oyamazaki.com/

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ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」

開催期間:2017年1月24日(火)-30日(月)

開催時間:10:00-21:00(最終日は18:00まで)

開催場所:ギャラリーアンフェール

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フランスの画家 ロベール・クートラス(Robert Coutelas 1930-1985)の作品集『ロベール・クートラス作品集 ある画家の仕事』(エクリ刊)の出版を記念し、ロベール・クートラス展「小部屋のクートラス」を開催いたします。

 

手札サイズのカルト、グァッシュ、油彩に加え、小さなオブジェ、写真家・平地勲氏が長年にわたり撮影してきたクートラスの作品群の写真を展示します。

※なお、作品の販売はいたしません。

 

 

(上田)